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2021-02-18 00:00
(連載2)「輸出補助金」への無頓着
緒方 林太郎
元衆議院議員
【WTO農業協定第九条 輸出補助金に関する約束】
次の(a)から(f)までの類型に該当する輸出補助金は、この協定に基づく削減に関する約束の対象となる。
(a) 政府又はその機関が、企業、産業、農産品の生産者、協同組合その他の農産品の生産者の団体又は販売に従事する機関に対し、輸出が行われることに基づいて直接補助金(現物による支払を含む。)を交付すること。
(略)
(d) 輸出農産品についての市場活動のための費用(取扱い及び品質向上その他の加工のための費用並びに国際運送に係る費用を含むものとし、輸出促進及び助言に関する広く利用可能な役務に係る費用を除く。)を軽減するために補助金を交付すること。
(略)
今回の「新市場開拓に向けた水田リノベーション事業」は、かなりの可能性で上記の規定に引っ掛かります。何処ぞやの国から、WTOの紛争解決処理に「(新規輸出補助金が禁じられている)日本が輸出補助金を出している」と訴えられたら負け筋です。
そもそもですが、この事業によって農家がコメを海外に大々的に安く投げ売ったら大変な事になりそうです。逆にそこまで輸出が伸びないのであれば、10アール当たり4万円という高水準の補助をしたのに、作ったコメを政府が抱え込む事になるかもしれません。今年度第三次補正で290億円が計上されているのですが、この微妙な予算規模が政府の思いを反映しているかもしれません。「あまり大々的にやると問題だし、かと言って、あまりに少ないと輸出促進にならない。」という事です。もっと言うと、補助水準が高いので「新市場開拓用米」への希望が殺到したらどうするんだろう?とも思います。
何はともあれ、この事業、危なっかしいなと思います。もう予算は成立しているのですが、与党、野党での検討の中で誰か言わなかったのですかね。何時も言いますが、一昔前の自民党なら通商のプロだった議員から「これ、輸出補助金じゃないのか?」と指摘が必ず来そうなものです。昨年4月頃の「和牛商品券」、「お魚商品券」に似た、通商ルールのリテラシーの低さを感じます。(おわり)
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