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2021-01-30 00:00
(連載2)尖閣諸島と‘カーボン・ニュートラル’
倉西 雅子
政治学者
尖閣諸島問題に話を戻しますと、中国は自国の利益のためのカーボン・ニュートラルの問題の同一直線上に尖閣問題を置こうとしている可能性があると筆者は考えます。今般、日本国政府は、尖閣諸島に対する日米同盟の適用をアメリカと再確認しましたが、鉱物資源の価値が‘ゼロ’となれば、日本国政府が同諸島の領有権に対して執着しなくなると中国が読んでいるとしたらどうでしょうか。
あるいは、日本国政府が、親中派の影響を受けて、中国が尖閣諸島を侵略した場合に、カーボン・ニュートラルの方針を背景に、対中戦災の被害と尖閣諸島の資源的価値の比較を以て世論が徹底抗戦を訴えないように誘導するなど防衛に後ろ向きになるシナリオがあるかもしれません。
その一方で、こうした中国の自己中心的な立場からのシナリオは、逆の立場から見ますと、カーボン・ニュートラルに対する中国の真の方針を見極める判断材料とはなりましょう。上述したように、中国の尖閣諸島に対する領有権主張の目的は、外洋艦隊を擁するにあたって生じた地政学的なそれを除けば、天然資源の獲得が主です。2060年までに石油や天然ガスを不要とする脱炭素社会を実現するならば、中国こそ、尖閣諸島に対してその領有を主張する主要な動機の1つがなくなるわけで、それにも拘わらす尖閣諸島への執着を深めているのは、40年語を見据えてなお尖閣諸島の天然資源を求めているからというのが複数ある理由のうちの一つとして有り得るシンプルな答えです。すなわち、中国政府が、カーボン・ニュートラルを2060年までに達成しようという意欲に乏しいということです。
尖閣諸島問題は、エネルギー資源に端を発していますので、今般のカーボン・ニュートラルの流れとは無縁ではありません。日本国政府は、カーボン・ニュートラルの一面に惑わされることなく、この美名に隠された様々な要素をこそ見抜くべきではないかと思うのです。(おわり)
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