ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2007-07-23 00:00
三本指のピアニスト
岩國哲人
衆議院議員
2年前のはじめ、1月9日、10日の成人式の日に横浜市のみなとみらいホールで開かれていた第1回ピアノパラリンピック in JAPANの光景は全く違ったものでした。迫田時雄さんを中心に、10年の構想、5年の準備ののちにようやくこの日を迎えることになったこの大会で、16カ国の旗を背景に舞台で演奏したのはホロビッツでもなければルービンシュタインでもなかったのです。世界16カ国から集まった6歳から78歳の障害のある人ばかり百人がピアノの技を競う世界大会でした。国際交流基金と三菱ふそうの協賛があるとはいえ、日野原重明聖路加国際病院名誉院長や、羽田孜元総理や映画監督の向井寛さん、スキーのオリンピック元代表の猪谷千春さん、その他大勢のボランティアの人たちの協力があったとしても、世界ではじめてこのような大会を日本で開催できる日が来るとは誰も思っていなかったでしょう。肢体障害、視覚障害、聴覚障害など数多くの障害を乗り越えて、「不可能を可能にする人たち」が、一堂に会して一人ひとりがピアノの技を競うその真剣さと、演奏の終わったときの喜びの表情には深く感動しました。
日本の社会には差別が多すぎます。国籍で差別、顔色で差別、学歴で差別、信仰で差別、男性・女性で差別、家柄で差別、職業で差別、生まれた地域で差別、ありとあらゆることを材料にして差別しようとする国です。日本は経済的には大きな国になりながら、「財布は大きく、心は小さく」、お金は豊かですが、こころが貧しい国になっているのです。
その点でも今回のピアノパラリンピックはとても意義深いと思います。両手合わせて三本の指を懸命に使って名曲に挑戦している人などの中から、この日入賞した金メダルの中国代表孫岩(ソン ヤン)君はショパンのポロネーズを、銀メダルのロシア代表スベトラーナさんはプロコイエフのピアノソナタを、銅メダルのスペイン代表イグナシさんはショパンの幻想即興曲をそれぞれみごとに演奏し、会場から大きな拍手を浴びていました。音の世界には国境も、障害の差別も、人権差別もありません。平等に一人の人間として音を表現できるからでしょう。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム