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2021-01-20 00:00
(連載2)コロナ対策が生む株価バブルと格差拡大
中村 仁
元全国紙記者
国別にみると、米国株の時価総額は42兆㌦増(21%増)、日本は7兆㌦(1㌦=103円)増(10%増)だそうです(2020年12月30日、日経新聞)。7兆㌦といえば、700兆円以上ですから、ぼろ儲けした投資家もいるでしょう。本来なら金融資産課税を強化し、コロナ対策向けに回収したいところです。
日銀も10年前から始めたETF(上場投資信託)の保有で、10兆円もの含み益があるそうです。本来なら、売却して巨額の財政赤字に苦しむ国庫に納めたい。そうしないのは、株高維持が実質的に、異次元金融緩和策の目的の一つになってしまっているからです。最大の投資家である日銀が売却を開始すれば、日本株は急落するでしょう。株価は一部の取引で決まる相場を全体にあてはめたのが時価総額ですから、一部の売りでも時価総額は減ります。動くに動けない。
米国には資産格差の推計がいろいろあります。「上位1%の資産富裕層が金融資産の50%を所有」「資産保有の上位10%が株・投資信託の90%を保有」「所得最上位の1%が所得全体の18%を取得」などです。日本の資産格差は米国ほどでなくても、「資産バブルで儲ける富者はますます富み、貧者はますます貧する」とはいえます。野党はデータを掘下げ、コロナ対策の歪みを追及すべきなのに、政権与党のあら探しばかりに没入しています。これでは国民の支持率は上がりません。
格差拡大は人道的な問題にとどまらず、経済の長期的停滞の原因になります。富者は資産の拡大に励み、消費に大してカネを回す必要のない人たちです。貧者は節約に励み、消費は委縮を続けます。コロナ危機はマネー資本主義の悩みの深みをあばきました。日本の実質経済成長率は「1956年→73年が9%」「74年→90年が4%」「91年→2019年が1%」です。経済成長によって財政赤字を減らすことは、中程度の経済成長率があればできました。日本は30年間の平均で1%の成長しかできなかった。今後、日本がどうやってかつての成長力を取り戻していくのでしょうか。(おわり)
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