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2021-01-19 00:00
(連載1)コロナ対策が生む株価バブルと格差拡大
中村 仁
元全国紙記者
米国ダウが史上高値の3万㌦を突破し、いまや3万1千ドルを射程に捉えています。日本も11月からほぼ一本調子に値上がりし日経平均が一時2万9000円に挑むかという高値をつけました。コロナ感染拡大による経済不況で貯蓄も底をついている人がいる一方で、実体経済と乖離した株価バブルで潤っている投資家たちがいます。金融緩和や財政出動によるカネがマネー市場にも流れ込み、バブルを作っています。カネを必要とする人たち、企業にカネがきちんと流れる仕組みは作れないものでしょうか。経済政策は狂ったままです。世界の株の時価総額は史上初めて100兆㌦を超え、19年末比で17%も増えています。昨年3月のコロナ暴落後、各国が一斉に不況対策に乗り出し、瞬く間に株価は回復し始めました。20年3月の底値で株に投資した人はすごい儲けを得ているのでしょう。
なぜコロナ不況下でバブルが発生しているのでしょうか。「いずれ景気が回復するので、株高は将来の景気回復を先取りしている」「FRB(連邦準備制度理事会)が2023年までゼロ金利を続けると言明しているので、投資家は安心して株式投資ができる」との解説が聞かれます。そのほかにも、「ゼロ金利で利ザヤを稼げない金融機関が証券投資に傾斜している」「所得の低い階層は家計の節約志向を強めている。政府の給付金も消費でなく、貯蓄に回り、それがマネー市場に投資されている」といった解説もあります。
日本でも、1人一律10万円のコロナ給付金(総額12・7兆円)は結局、1万円程度しか使われず、残りは貯蓄に回った」(野村証券)そうです。支援が必要不可欠な人たちに30万円を給付する当初案だったのに、給付金を必要としない人たちにも支給した愚策もバブル生成を手伝っています。
さらに、日本では日銀がETF(上場投資信託)を45兆円も保有し、GPIF(年金積立金運用法人)も同程度、日本株を所有しています。買う一方の資産運用ですから、日本の株式市場では官製相場が形成され、売り買いが交錯することがありません。これもバブル発生の援軍です。(つづく)
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