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2020-12-24 00:00
(連載1)迷走する有識者たちのコロナ論
中村 仁
元全国紙記者
菅政権の「Go To トラベル」は迷走を続け、とうとう年末年始は全国一斉停止に追い込まれました。若い世代はほとんどが無症状、軽症です。重症化しやすく、死者が多い65歳以上の高齢者を除外しておいたり、社会的な隔離政策をとったりしておけば、違った選択肢もあり得たでしょう。メディアが「これでもか」と感染拡大を悲劇的に報道し、医師会も医療崩壊寸前にきたような警報を鳴らしてきました。コロナが自らの生活に直結する国民は動揺し、内閣支持率は10ポイント以上も劇的に急落し、菅政権は慌てました。感染症の専門家でもない識者も新型コロナ問題の論陣に加わっています。その主張は迷走を続け、国民を不安に陥れています。
作家・数学者を名乗る藤原正彦氏は「日本人の品格だけが日本守る。感染者の少なさは日本人の民度の高さの勝利だ」(月刊文春7月号)と、書きました。同氏は、11月からの「第3波」をどう考えているか。「民度が急速に低下した」とでも理由付けするのでしょうか。歴史学者の磯田道史氏は「世界一優秀な衛生観念でかろうじて第1波を乗り切った」(同)という仮説を述べました。「優秀な衛生観念」が感染拡大を抑止しているのならば、「第3波」はなぜ起きたのか不思議です。人気の歴史学者にしては、ちょっと不用意でしたか。
雑誌は毎号のようコロナ特集を組んでいます。元朝日新聞主筆の船橋洋一氏は「新型コロナウイルス危機は『東アジアの興隆』と『西洋の没落』という地政学的パーセプションをもたらしつつある」(同新年号)との見立てで記事を書きました。さらに「東アジアは感染者、死者数を相当程度抑え込んでいるのに対し、欧米は東アジアの50倍から100倍も多い。経済回復の足取りは東アジアの方がはるかに軽い」「危機のトンネルを抜けたら、東アジアは勝者、欧米は敗者という黄信号が点滅しているだろう」と。
そうなるのかもしれません。そこで「ちょっと待てよ」です。船橋氏は何度か新型コロナ論を書いてきました。振り返ってみますと、船橋氏の主張、仮説はころころ迷走を続けてきたように思います。船橋氏は「国民の生命と生存権を脅かす国家的な危機なのに、政府は国民への速やかな支援を効果的に行っていない」(同7月号)と批判しました。さらに「日本の人口千人当たりの医師数はドイツの半分、G7では最小」と、医療体制が不十分であるとも指摘しました。(つづく)
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