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2020-12-19 00:00
「宇宙開発省」創設を提案する
加藤 成一
元弁護士
「宇宙を制する国は世界を制する」と言われる。それは、宇宙開発は一国の科学技術力のバロメータだからである。即ち、宇宙開発は、月・惑星探査など、人類にとって宇宙の未知の分野の解明・発見や、宇宙旅行などに不可欠であると共に、宇宙開発に必要な科学技術力は、高性能コンピューターや人工知能、情報通信技術など、産業競争力の向上をもたらし、一国の経済成長にも不可欠である。のみならず、宇宙開発は今や一国の安全保障にも不可欠となっているのである。
現在における宇宙開発の三大国とされる、米国、ロシア、中国は、宇宙開発競争でしのぎをけずっている。その理由は、単に宇宙の未知の分野の探求のみならず、それよりもむしろ、現代戦における宇宙の重要性を深く認識しているからである。上記三大国が急速な宇宙開発能力の向上を目指しているのは、宇宙戦においては「先手必勝」であり、先に相手国の情報・通信・偵察衛星などを破壊し、指揮・命令・統制系統など作戦の中枢機能を麻痺させれば、作戦行動が著しく困難になるからである。その意味で、今や宇宙開発は一国の存亡にかかわり、国家安全保障にとっても必要不可欠なのである。
日本では最近、小惑星「リュウグウ」から貴重な表面物質のサンプルを地球に持ち帰った「はやぶさ2号」の偉業が世界的評価を得たが、上記三大国に比べれば、宇宙開発における組織面、制度面、資金面、人材面等において、見劣りがすることは否めない。とりわけ、宇宙開発の国家安全保障への応用・活用面において課題がある。
日本では、2018年の「新防衛計画大綱」(「大綱」)及び「新中期防衛力整備計画」(「中期防」)において、宇宙、サイバー、電磁波など、宇宙開発・宇宙利用における国家安全保障への応用・活用の重要性が盛り込まれた。しかし、日本の宇宙開発には、国家の本格的事業としての、組織面及び制度面に課題がある。また、資金の投入や人材の確保にも課題がある。21世紀において国家の死命を制する宇宙開発の重要性を考えれば、宇宙開発事業が、文部科学省や防衛省などの、それぞれの役所の管轄に部分的に属する縦割り行政ではなく、先端的宇宙開発事業全般と国家安全保障を統合した「宇宙開発省」を創設すべきことを提案する。日本の命運を左右する「宇宙開発省」は、組織、制度、予算、人材、技術力などの面において世界最先端を目指し、人類社会に貢献すべきである。
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