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2020-12-10 00:00
(連載2)目に余る政治倫理の軽視
中村 仁
元全国紙記者
日本でも著名なジョセフ・ナイ教授が批判しています。「ほとんどの大統領は嘘をついてきた」と。政治権力は嘘をつかずには維持できないという意味でしょう。これは万国共通です。続けてナイ教授は「しかし、トランプ氏の嘘の多さは、群を抜いている」と、痛烈です。残された時間が少ないこの権力者は嘘に加速がついているようにみえます。腹心だったバー司法長官も「大統領選の結果を覆すような大規模な不正の証拠は見つかっていない」とまで語りました。
闇が深いのは、トランプ氏が「米民主主義の破壊者」と酷評されつつも、獲得票は7100万票(バイデン氏は7500万票)と、前回より800万票も上積みしたことです。半数近い投票者が大統領の虚偽に無関心であることを意味しています。米国経済が長期的な低迷期に入り、グローバリゼーションの流れからも取り残される人たちが増えトランプ氏を支持した側面もあるとか。政治的倫理は後回しでいいと有権者は利己的になっているのでしょうか。安倍前総理大臣も、モリカケ問題などで支持率を落とし、政権が危機に陥ることが幾度もありました。そのたび、政治倫理に関わる問題があるにもかかわらず、甘すぎる金融財政政策で有権者の歓心を買い選挙に大勝する、という必勝パターンで生き残ってきました。日本の有権者も政治倫理を後回しにする、そういう時代なのでしょうか。
他方、民主主義国ではない独裁政権の中国、ロシアと、日米の政治倫理の国際比較はできないでしょう。それでも尖閣諸島は中国固有の領土であるだとか香港の自由は剥奪するとの中国の虚偽は目にあまります。北方領土は第二次世界大戦の勝利でロシアに帰属が確定したなどというロシアの虚偽は、日本との領土交渉の障害なっています。習近平もプーチンも、と列挙すると多くの国で権力者の虚偽が蔓延している。
国益を最優先する外交の場では、虚偽を主張する政治権力者は珍しくありません。問題は外交と内政が連動することです。トランプ氏の対中強硬策に国内支持が強まると、虚言癖も許されてしまう。利己的になってきた有権者が政治的虚偽を増長させるのでしょう。(おわり)
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