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2020-12-03 00:00
(連載1)バイデン時代のプーチン体制の行方
岡本 裕明
海外事業経営者
独裁的立場をとるプーチン大統領の行方が読みにくくなっています。概括するとプーチンロシアを取り巻く環境は徐々に厳しくなっており、バイデン大統領が誕生したならば今後の緊張感はさらに高まるとみられています。欧州に目を転じると8月にプーチン大統領にとって邪魔な存在とされる反体制派のナワリヌイ氏をロシアが毒殺しようとしたとドイツが発表しました。これを受けて完成間近のロシア/ドイツ間の天然ガスのパイプライン、ノルドストリーム2の建設が再び止まるなど行方が見えない状態にあります。さらに、旧ソ連領のアゼルバイジャンとアルメニアがその支配権を争っていたアルツァフ共和国についてアルメニアが事実上、敗退しました。いわゆるナゴルノカラバフ紛争です。ロシアはアルメニアを支援していたため、これがロシアの影響力の低下ではないかと報じられています。果たしてどうなのでしょうか?
まず、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争でありますが、トルコが支援するアゼルバイジャンとロシアの支援するアルメニアの戦いという切り口で見れば確かに結果はロシアの敗退に見えます。ところがこの和平の仲介をしたのはロシアであります。ロシアは今回アルメニアを通じて軍事侵攻しておらず、プーチン大統領はあくまでも地域紛争という立場をとっています。つまり、初めから本気度はなかったように見えるのです。とすればこれをもってロシアの弱体化とみるのはやや早計な気もします。
日経や産経はロシアについて「ロシア勢力圏、後退さらに」(日経)、「堕ちた盟主『露勢力圏』の崩壊」(産経)といったトーンなのですが、フィナンシャルポストの記事あたりを見ると「プーチンは世界でチェスゲーム」と題しており、記事のトーンはむしろチャンスを窺っているという内容です。これをどう見るか、なかなか難しいところです。個人的にはロシアの体力は経済的ダメージとコロナで落ちてきているとみるのが妥当だと思います。ただ、ロシアは寒い故に粘り強い国でもあります。旧ロシア、あるいはソ連時代の脅威の粘りは侮れないものがあります。
トランプ大統領が駐留米軍についてアフガニスタンからの更なる撤退を指示したと国防総省の話として報じられています。アフガニスタンからのアメリカの撤退をずっと待ち望んでいるのがロシアであることは間違いなく、どこでその牙をむくのか、気になるところであります。これがフィナンシャルポストの言うチェスなのだろうと思います。(つづく)
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