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2007-07-18 00:00
自由でオープンな市場が成長を促進
上田勇
衆議院議員
5月には、大企業の株主総会が多く開かれました。従来の形式的な総会からはずいぶん様変わりして、経営者の株主重視の姿勢も見られる一方で、株主から質問や提案が活発に行われ「物言う」株主の存在感も大きくなってきました。こうした変化は、わが国の経済界の発展にとって評価できるものと考えています。
株主総会で注目を集めたのは、大株主となった海外投資ファンドなどによるM&Aや経営介入とそれに対抗する経営陣による買収防衛措置の導入です。私は、企業経営陣が過剰に反応しすぎて、合理的な範囲を超えた防衛策を導入しているのではないかと感じています。そのため、効率的な企業経営が損なわれて一般株主の利益が害されているだけでなく、わが国の資本市場が閉鎖的であるとの認識が内外に広まることによって、結果的に経済競争力を弱めることになるのではないかと危惧しています。
中長期的なわが国経済の活性化のためには、技術やビジネスモデルの継続的なイノベーションが必要であり、海外からも先進的な技術やノウハウを積極的に取り入れていく姿勢が不可欠です。そのためには、わが国の資本市場が海外の投資家に対してもフリー、フェアー、オープンなものとしていくとともに、そうした魅力的な市場であるとの認識を持ってもらうことが必要です。
ファンドは短期的なリターンに偏重し、必ずしも企業の長期的な成長戦略を重視していないケースが多いのは事実です。また、企業には、株主だけでなく従業員や取引先などの多様なステークホルダーが存在し、そうした立場の利害も尊重することは重要なことです。そのため、適切な防衛策を講じることは正当なことであります。一方、それらが経営陣の自己保身を目的としたものに陥ってはなりませんが、その見分けはなかなか難しいのが現実でしょう。
個々の企業にとっては合理的な経営判断であったとしても、海外の投資家などが逃避して結果的に日本経済全体にとってはマイナスに作用するという合成の誤謬もあるのではかと危惧しています。経済界にあっては、国全体の経済活性化や産業競争力の強化も念頭において経営のあり方について検討していただき、適切な経営判断を期待するものです。
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