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2020-11-20 00:00
(連載1)RCEPの批准は見送るべきでは
倉西 雅子
政治学者
11月15日、日本国の菅首相をはじめ、RCEP参加各国の首脳は、RCEP協定に署名しました。同協定は秘密交渉であったため、署名の段となってようやくその内容が明らかにされつつあります。そして、漏れ伝わる同協定の内容からしますと、日本国は、RCEP協定の批准は見送るべきではないかと思うのです。
RCEPにはアメリカが参加せず、かつ、中国が中心国となりますので、同枠組みは、行く行く先には人民元が決済通貨として使用される‘デジタル人民元圏’に発展するリスクがあります。グローバリズムの理想と現実は大きくかけ離れており、規模の経済が圧倒的な競争力を有する上に、‘共通通貨’が存在していない以上、決済通貨、あるいは、流通通貨における非対称性、否、不平等の問題に直面せざるを得ません。つまり、RCEPにあって、世界最大の貿易国である中国の通貨である人民元が地域限定であれ‘国際基軸通貨’となる可能性は極めて高いのです。それは、中国人民銀行、否、中国共産党のコントロール下に入ることをも意味しますので、日本国、並びに、他の参加国にとりましては重大なリスクとなりましょう。
こうした懸念に加えて、もう一つ、重大な問題点を挙げるとすれば、IT分野におけるデータ・サーバーの設置国に関する合意項目です。日経新聞の朝刊2面に掲載された記事によれば、「事業をする条件としてサーバーなどの自国への設置を外国企業に強要することも禁止する」と記されています。仮にこのルールに従えば、日本国内に進出してきた中国IT大手に対して、日本国政府が、同社に対して日本国内にサーバーを置くことを求めることはできなくなります。サーバーとは、情報の提供、並びに、保管場所となりますので、日本国内の企業並びに個人のユーザー情報は、全てサーバーの設置場所、即ち、中国に渡ることとなりましょう。
しかも、現状にあって、5G分野にあってはファウェイ製品を政府調達から排除しても、日本国政府は、顔認証システム等において中国製品を採用していることが問題視されています。中国では「国家情報法」制定されており、民間企業であれ中国政府に情報を提供する義務を負っていますので、RCEPに乗じた中国IT企業の日本国内での事業拡大に伴って、日本国のあらゆる情報が中国政府に握られてしまう可能性も否定はできないのです。(つづく)
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