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2020-11-18 00:00
(連載1)バイデン政権成立で外交中枢に入る人たち
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
ジョー・バイデン政権が成立するならば、外交政策分野では、バイデンが副大統領だったバラク・オバマ政権時代に参加していた人物たちが、主要最高幹部として登場するだろう。ジョー・バイデン陣営には、数多くの外交専門家たちがボランティアで様々なワーキング・グループに参加していることを紹介している。ここで作られた政策提言や助言を取りまとめるのが、インナーサークルと呼ばれる少数によるグループで、このグループのメンバーが政権の外交政策の中枢を担うことになる。これはあくまでバイデン政権が成立した場合の話だが、その際に中枢に入るだろう重要人物たちを見ていきたい。
バイデンの外交政策の面での側近は、アントニー・ブリンケンだ。アントニー・ブリンケンは第一次、第二次ビル・クリントン政権のホワイトハウスで国家安全保障会議のスタッフを務めた。大統領特別アシスタントとして、演説草稿づくりに関わり、ヨーロッパやカナダ担当の上級部長を務めた(ブリンケンはフランスの高校を卒業しているのでフランス語が堪能)。こうしたことからビル・クリントン、ヒラリー・クリントンとの関係も深い。2008年の大統領選挙では最初はバイデン陣営に加わり、バイデンがバラク・オバマの副大統領候補となってから、オバマ・バイデン陣営に加わった。オバマ政権では、国家安全保障問題担当副大統領補佐官を務めた。
アヴリル・ヘインズは日本の柔道の殿堂・講道館に1年間留学した経験を持つ変わり種だ。物理学の大学院生を辞めてバーや本屋を経営し、その後法科大学院に入って弁護士資格を取得した。その後、連邦上院の外交関係の仕事をしている時にバイデンと知り合ったようだ。バラク・オバマ政権では2013年から15年まで女性初のCIA副長官を務め、15年から17年にかけては、国家安全保障問題担当大統領次席補佐官を務めた。
ジェイク・サリヴァンはオバマ政権内で若手(30代)のエリートとして登場した。拙著『アメリカ政治の秘密』(2012年5月12日、PHP研究所)で私はいち早くサリヴァンに注目した。私は、「サリヴァンは将来、大統領になるか、国務長官になるか、くらいの人だ」と述べたが、周囲の人たちからは「それは言い過ぎではないか」とたしなめられた。彼は自分の出身地から連邦議員に出馬することも視野に入れていた時期もあった。しかし、彼は線が細い感じで、表方の人でもないような感じだと私も考え直した。そこがピート・ブティジェッジとは違う点だ。サリヴァンはミネソタ州出身で、今年の大統領選挙民主党予備選挙に出馬した地元選出のエイミー・クロウブッシャー連邦上院議員の首席補佐官を務めていた時に、ヒラリー・クリントンに紹介された。2008年の大統領選挙ではまずヒラリー陣営に参加し、その後、オバマ陣営に参加した。サリヴァンは2011年から2013年まで国務省政策企画本部長に抜擢された。初代の本部長はジョージ・ケナン、その後はW・W・ロストウ、アンソニー・レイク、ポール・ウォルフォビッッツなど後に大物になる人々がこの地位を経験している。外交政策分野における登竜門である。2013年から14年にかけてはバイデン副大統領の、国家安全保障問題担当副大統領補佐官を務めた。イランとの核開発をめぐる合意の根回しを行った。2016年大統領選挙ではヒラリー陣営の幹部を務めた。(つづく)
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