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2020-10-30 00:00
(連載2)蓮舫議員「失脚」の意味
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
では予算委員会筆頭理事の石井準一参院幹事長代理とはどんな人物であろうか。石井準一氏は、もともと浜田幸一氏の自宅に11年も住み込んでいた秘書で、その後1987年、29歳で千葉県議会議員選挙に出馬し、初当選した。以後、5期20年にわたり千葉県議を務め、2004年から自由民主党千葉県連総務会長。2007年、引退する倉田寛之参議院議長から後継指名を受け、第21回参議院議員通常選挙に千葉県選挙区(定数3)から自民党公認で出馬し、当選。当選後は平成研究会に入会した。2018年の総裁選では当時の平成研究会の吉田参議院幹事長(当時)と調整して平成研の票を石破茂投票でまとめ上げ、また委員会の最中、与野党がもめるたびに、石井議員が立ち上がって出てきて、安倍晋三総理や麻生太郎財務大臣に「このように直してほしい」などと要求をしていた。平成研内では「なかなかよくやっている」という評価であるが、野党との調整力の源泉は蓮舫氏とのパイプにあった。
つまり、ある意味で与党側にとっては蓮舫氏の「スパイ」ともいえるし、ある意味では与党側の意向を野党に飲ませる調整役ともいえた。このような人物は「裏方」とか「寝業師」といわれ、その調整能力を高く買われるものだ。ただ、調整後にもマスコミを使って平気でクレームをつけるモラルのなさをもつ彼女をコントロールしきれないことが石井氏の課題であった。石井氏が辞めざるを得なかったのは、「国会内は調整できてもマスコミや世論を気遣うことまではできない」というような評価によるのだろう。
報道では両氏の関係の「近さを問題にした」という話だが、実際は「近いのにコントロールできないということは、むしろ蓮舫に石井氏が飲まれているではないか」というところだろう。石井氏の交代に対応して蓮舫氏も「失脚」となった。
蓮舫氏は、「石井氏とのコンビで参院の立憲は存在感が高まったとばかりに、与党に振り回される衆院側を見下し、反感を買っていた。石井氏が筆頭理事を外れる以上、蓮舫氏に用はないと切られてしまった」(週刊新潮 2020年10月15日)ということだが、相手が青木一彦筆頭幹事に代わってしまってはうまくゆかないと、見越した人事をされたということである。すでに立憲民主党の中では、執行部は蓮舫を外すことにした。「左翼的な政治思想」に基づけば、立憲民主党に蓮舫氏の返り咲く環境はないかもしれない。蓮舫氏が「内ゲバ」を起こすのか、あるいは、立憲民主党をやめて国民民主党あたりに鞍替えするのか、あるいは、思い切って自民党にでも行くのか。今後、政局になり得る重要なファクターといえよう。(おわり)
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