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2020-10-14 00:00
副大統領候補討論会「ペンス圧勝」を読む
大井 幸子
国際金融アナリスト
10月に入ってすぐのサプライズは、「トランプ大統領がコロナ感染」、「大統領側近を含め、ホワイトハウスの主要な人々が集団感染」、「感染拡大はペンタゴンや軍指導部まで」と言ったニュースである。ウィズコロナでトランプ氏が病院から執務室に戻っても、米国主要メディアはトランプ大統領に批判/非難を集中している。そして、バイデン優勢のニュース。何がフェイクなのか、誰が正しいのか?事実はどうなのか?全てを疑う必要がある。その上で、自分で調べて、事態を見極めないといけない。
問題は、米国人がどのような価値観(ビジョン、世界観)を持って、現実を受け止めて、判断するかである。世界観は人が創り出すものであるが、その人のバックグランド、つまり、家族や民族、伝統、慣習や宗教、国や社会の成り立ちが世界観を形作ると言っても良い。米国は植民地からの独立以来、米国憲法を原点とした政府である。米国人がこの原点に立ち返り、現実的な判断をする場合、私が参考にしているニュースソースがある。マイク・ハカビー氏である。
ハカビー氏は元アーカンソー州知事(1997-2007年)で、共和党から大統領候補になったこともある。氏が今年に出した著書“The Three Cs That Made America Great: Christianity, Capitalism and the Constitution”は、米国の伝統的な信仰(福音派キリスト教など)や小さな政府派、護憲派も含む中道派の価値観をよく表しているものだ。彼は夫婦共働きながら家族を守っている健全な米国の中間層に影響力があり、TVトークショー(彼の名を冠したYouTubeチャンネル)は、アメリカの投票行動を占う上で非常に参考になると、私は思う。その上で、先週の副大統領候補の討論会で挙げられた主要な9テーマについて、ハカビー氏の論評は、「失言ハリス」に対して、副大統領候補の健康状態と外交・国際関係の2テーマでは引き分け、残りのコロナ、経済、気候変動、中国、最高裁人事、人種差別、政権移行といったテーマではペンス圧勝としており、説得力がある。
さて、今後トランプ陣営はどう出るだろうか。大統領候補による討論会、明日15日は既に中止となったが22日は今のところ行われる。その間に、トランプ政権の打つ手としては、国民に直接1200ドルを支給するという財政刺激策がある。また、トランプ政権への追い風として、反中国の国民感情がコロナ感染拡大の中、いっそう高まっている点がある。米メディアはバイデン優勢を伝えているが、筆者は必ずしも決したとは思わない。「三つのC」に重きを置く中道派の「声なき声」はトランプ政権をどこまで支えるのだろうか。
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