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2020-10-10 00:00
中国とは学術交流を進める日本学術会議の矛盾
加藤 成一
元弁護士
菅義偉首相が日本学術会議に対して、一部の新会員候補の任命を認めなかったことについて、野党は「学問の自由への侵害」などと非難している。しかし、同会議は現在も「軍事技術研究禁止」を掲げて防衛省関連研究への参加協力を全面的に拒否しているから、逆に個々の研究者にとっては上記研究についての「学問の自由」を侵害されているとも言えよう。即ち、日本学術会議は、2017年に防衛省が軍事応用できる基礎研究に費用を助成すると発表したことに反発し、同年「軍事目的の研究全面禁止」の声明を出した。それによれば、「ミサイル防衛」など侵略を防ぎ抑止力を高める自衛のための防衛的軍事研究をも全面的に禁止するものであり、日本国民の生命財産をいかに守るかに背を向けるものと言えよう。おりしも、2017年当時は北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを多数発射していた頃である。
このように、日本の安全保障技術研究に対しては非協力の姿勢を示す日本学術会議であるが、2015年9月7日同会議は中国科学技術協会とは相互の学術交流の促進を目的とする「覚書」を締結した。中国科学技術協会は中国全土の研究者や学会を管理監督する組織である。中国共産党は、周知の通り、民間の技術を軍事に転用利用する「軍民融合」政策を実践しているから、上記相互の学術交流の促進により、日本の先端技術が中国人民解放軍の軍事技術に転用され利用され得る。にもかかわらず、日本学術会議は、上記「覚書」に基づき、中国科学技術協会と現在も相互の学術交流関係を進めている状況にある。
のみならず、日本学術会議は、上記の相互の学術交流関係に基づき、一部の著名な研究者が中国の「千人計画」にも協力しているとする報道もある。「千人計画」とは、2008年に創設され、中国が科学技術強国を目指して破格の待遇を提供し、国内外から優秀な理科系人材「千人」を集める国家プロジェクトである。「千人計画」については、米国でも軍事転用可能先端技術流出が指摘され、安全保障上の脅威とみなされている(2019年11月米上院行政監視委員会及び国土安全保障委員会指摘)。にもかかわらず、日本学術会議は「千人計画」にも協力しているのである。
以上に述べた通り、日本学術会議は日本の防衛的軍事技術研究にも極めて非協力的であるが、他方、「軍民融合」の共産中国とは「覚書」を締結し学術交流関係を進め、「千人計画」にも協力しており、日本の先端技術が中国人民解放軍の軍事技術に転用利用される危険性が強く危惧される。したがって、日本学術会議に対しては、日本国民の生命財産を守るための防衛的軍事技術研究の容認と、中国との学術交流関係の見直し再検討を早急に進めて頂くことを強く要望する次第である。
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