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2020-10-01 00:00
(連載2)中国共産党、第19期5中総会を10月末に開催
松本 修
国際問題評論家(元防衛省情報本部分析官)
(2)他方、本年は「抗米援朝」活動、すなわち朝鮮戦争への人民解放軍参戦70周年に当たる年であり、参戦記念日とされる10月25日に向けて退役軍人、同親族への記念賞授与や遼寧省丹東の「抗米援朝記念館」のリニューアル開館が報道されていた。そして、9月27日には韓国から中国人犠牲者の亡骸・遺品が返還された(2014年以降今回で7回目)のだが、遼寧省瀋陽で出迎え役を担ったのは魏鳳和国防部長など軍人ではなく「女傑」孫春蘭副総理であった。翌28日、瀋陽の抗米援朝烈士陵園で埋葬式典が行われたが、ここでも弔辞を読んだのは孫招聘退役軍人事務部部長(党組書記、文官)であった。この30日には、2014年8月に制定された烈士記念日を迎え、習近平党総書記・中央軍事委員会主席ら党・政府要人が天安門広場で献花を行うことが予告されているが、これに先立つ朝鮮戦争参戦「烈士」に対する軍要人の非礼ぶり、消極的な態度は異例である。内政上、あるいは対外関係上何か忌避する理由があるのであろうか、今のところ不明である。
(3)最後に、最近の民族問題への対処である。8月28日~29日、中国共産党は第7回中央チベット工作座談会を開催した。同座談会は2015年以来5年ぶりの開催であり、あらためて「国家運営には辺境地帯の管理が必須であり、辺境地帯の管理には真っ先にチベットを安定させるという戦略思想の堅持」が確認された。しかし、9月に入ると内蒙古自治区の小中学校でモンゴル語の授業が減り、「普通話」(標準中国語)の教育が強化されことをめぐり、現地のモンゴル族の間で抗議活動が広がったという。これに対処するためか、趙克志公安部長は8月29日から内蒙古自治区を訪問し、ホロンバイル市、フフホト市の公安機関、派出所などを視察して現地の公安要員や警察官を激励した。また、王毅外交部長は9月15日、モンゴルを訪問して中蒙外相会談を行い、「互いに主権と独立、領土保全を尊重し、相手国の国内問題に干渉しない」ことを確認したが、これは中国国内のモンゴル族による抗議活動に関して中国側が、モンゴル側の介入を認めないことを示唆している。
しかし、民族問題への対処はこれだけに止まらなかった。5中総会日程を決定した政治局全体会議の直前、中国共産党は9月25~26日、第3回中央新疆工作座談会を開催した。同座談会は2014年以来6年ぶりの開催であるが、チベット工作座談会と同時期に、しかも立て続けに行われたのは今回初めてである。同座談会(主宰者は李克強総理)に出席した習近平総書記は「共産党の統治方針は完全に正しく、長期にわたって必ず堅持しなければならない」とし「(ウィグル族に)中華民族たる共同体意識を心底深く根付かせなければならい」と言明したことから、欧米諸国からの「人権問題」批判を拒否すると同時に、少数民族問題への中国当局の神経質ぶりがうかがえる。
4 おわりに
政治局全体会議開催後に開かれる恒例の集団学習会が9月28日午後に開かれた。これまで集団学習会は政治、経済、軍事、法制、文化等々広範囲にわたるテーマで23回開かれているが、今回の学習テーマは考古学であった。歴史、特に古代史好きの習近平からすれば絶好のテーマにみえるが、内外に問題が山積する現在の中国にとって今こそ必要なのは「考現学」ではないのかと疑問を抱くのは小生だけではないであろう。10月1日から始まる国慶節の長期休暇を経て中国は再び「政治」の季節に戻っていくが、5中総会後に再開するとみられる習近平の外遊先はロシアであろうか、アジア太平洋地域の親中国家であろうか注目される。(おわり)
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