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2020-10-01 00:00
(連載2)コロナ下のMMT
大井 幸子
国際金融アナリスト
私は、MMTの真実性に疑問を感じている。政府(為政者)が支出をどんどん増やして利権を握りしめて太っていく。その裏では国民が水呑百姓のように永遠に税負担に苦しみやせ細っていく・・・こんな悲惨な図式が見えてくるからだ。
政府がまずカネをバラまいて、最低賃金や社会保障を提供する、そのコストは税金で回収する。ここまでは「大きな政府(福祉国家)」がやってきたことだ。加えてこれからは、政府の信用を維持するために、電子政府が支援の対象である一方で徴税対象でもある国民一人一人のサイフの中身までチェックし、家計の監視を強めるようになる。
そもそも金融は、実体的な経済活動や取引があってこそ存在する、いわば実体のバックボーン、影絵のような存在だ。ところが、リーマンショック以降、マネーの量が実体経済の10倍以上に膨れ上がり、金融市場は経済とは無関係に動いている。その意味では、古典的な経済理論は、現実とかけ離れてしまったと言えるかもしれない。
例えば、大木(国民経済の実体)があって、そこにツル(金融)が巻きついている。ツルは大木に寄生している。ところが、ある時からツルが大木から必要以上に養分を吸い取り、大木を締め上げて実体を乗っ取ってしまった。大木の中身を構成する国民は働けど、寄生者(金融を支配する為政者)に吸い取られていく。適切な再分配が担保されずにMMTを実践すれば、国民全体の家計改善にはつながらないということだ。一方で、国民は国民経済に介入する政府に監視されて、はては豊かになれないままに主体的な選択も自由も尊厳も損なわれていく可能性もある。MMT理論の下ではいったいどのような社会が見えてくるのか?今はその実験中(テスト期間中)なのかもしれない。(おわり)
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