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2020-09-29 00:00
(連載1)コロナ下のMMT
大井 幸子
国際金融アナリスト
世界規模でコロナ禍が続き、ロックダウンで需要が瞬間的に蒸発して半年が経過した。「Go To トラベル」など「ウィズコロナ」の社会実験が続く。しかし、景気は一進一退で、回復に時間がかかりそうだし、年末にかけて雇い止めなど失業件数も増えていくだろう。
先進国のGDPの7割近くを占める個人消費が伸び悩む中、各国政府では生活資金を直接国民に支給する救済策を進めている。米国民は4月に財務省から一人当たり1200ドルの小切手を受け取った。ドイツでは「ベーシックインカム」導入が検討されている。政府が家計に直接資金を配る、中央銀行が株や債券を直接買い付けるといった異常事態が「新常態」となる中、MMT(現代貨幣理論)が主流派経済学に割り込んで、自分たちが「新常態」の正当な理論を先取りしていると言いたげである。本当にそうなのか?
MMTの理論は、簡単に言えば、主流派経済学の「財政規律」を目指さない、「スペンディング・ファースト」で、完全雇用や物価安定を目指す。財政支出が増えると国債発行でまかなうことになるのだが、中央銀行が財政ファイナンスのオペレーションをするので、デフォルトは発生しないと主張する。MMTは、米民主党の経済政策(グリーンニューディール、国民皆保険、教育無償化など)の理論的な基盤を提供している。加えて、政府が「最後の雇い手」となり、社会保障、再教育等の支援を行い、公益分野への就業を斡旋するという福祉政策までも提唱している。
MMT理論の提唱者として有名なのは、ステファニー・ケルトンNY州立大教授で、民主党サンダース大統領候補の経済顧問を務めた。一見するともっともらしいMMTには、サンダース支持の若者や、「ウォール街占拠」に賛同し格差社会を批判する人々が、サポートしているようだ。ソ連のような国家社会主義経済が崩壊して30年も経った後で、MMTは社会主義/共産主義体制を正当化する新手の理論なのだろうか?(つづく)
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