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2020-09-25 00:00
(連載2)菅政権に対する新聞論調を点検する
中村 仁
元全国紙記者
ここで論じるべき本質的な課題は、「役所の縦割り、既得権益、悪しき先例主義を排して規制改革を進める」についてです。これらは官僚組織ばかりでなく、政界自身にも向けられている課題なのに、朝日は言及しない。「役所の縦割り」は、政治にも当てはまります。小選挙区制で選挙地盤が県や市よりも小さな区域に細分化されている。知事や市長より小粒の国会議員が少なくない理由はそこにもあります。小選挙区は守りやすく、議員の新陳代謝が進まず、政権交代が起きにくい岩盤ができ上ってしまった。「既得権益」の問題も政治に当てはまります。20人の閣僚のうち、11人が世襲議員です。世襲により「三バン」、つまり地盤(後援会組織)、看板(知名度)、カバン(選挙資金)を受け継ぎ、選挙で当選を重ねやすい。「既得権益」批判を政界に広げる論調が朝日にほしい。
一方、読売新聞は「経済復活へ困難な課題に挑め」として、「焦点は解散・総選挙の時期である。麻生副総理は早期解散に言及している。早期に解散して、新政権に対する国民の審判を受けるのか」と、結びました。解散論では、朝日は「求められているのはコロナの収束に政府の総力を注ぐことだ」と、主張しています。読売は早期解散派、朝日は任期満了派でしょうか。短期間に国政選挙を繰り返し、その際、財政面、金融面で選挙対策を繰り出し、最悪の財政状況を招いたことに両紙とも言及しない。
安倍政権は12年12月の衆院選で圧勝し、政権を奪還しました。その半年後の参院選でも大勝、14年12月の衆院選は「消費税引き上げ延期」を掲げて圧勝、16年7月の参院選では「再延期」で大勝、17年10月の衆院選、19年7月の参院選でも勝利です。1、2年ごとに国政選挙し、その間に地方統一選挙が入る。選挙をやるごとに、国の財政状況が悪くなっているという視点で論じることをメディアは好みません。国費(税金)を使った単価の高い選挙広告がメディアの懐を潤すからでしょうか。選挙数は少ないほうがいいのです。
新聞論調で気になったのは、日経新聞の菅首相の持ち上げ方のすごさです。編集幹部の署名入りの1面コラムで「時に乱暴と思えるほどの行動も辞さずに、照準を定めた課題を突破しようとする」「生来の性質を前面に出して大胆な改革を徹底的に実行し・・」と、よくここまで書くなあ、です。社説でも「政策に詳しく、決断力のある政治家が閣僚になる。官僚政治ではできない大胆な改革を政治主導で推し進めてきた。新内閣の人選はそうした変化を極めたものである」と、新首相の礼賛論を展開しました。ちょっと劇画調になりすぎていると、心配になりました。(おわり)
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