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2007-07-12 00:00
Think Tank の役割をテーマとする国際会議
大河原良雄
世界平和研究所理事長
上海国際問題研究所が主催する「2020年の国際情勢とThink Tankの増大する役割」をテーマとする国際 work shopが7月3日、4日と上海で開催され、私は世界平和研究所の代表としてこれに参加した。主催者がどの様な基準で参加者を招待したのか定かでないが、北京を中心とする中国の研究者は当然の事としてアジアからは日本と韓国のみで東南アジアからの出席者はなくインド、ドイツ、ロシア、南アフリカ、メキシコ及びアルゼンテインからの出席があったのが注目された。
「中国の興隆」と称せられる目覚ましい経済発展を背景に、中国の出席者は中国の引き続いての経済発展に自信を示し、冷戦後の米国の一極支配体制の時代は終ったとして、多極化体制の到来に期待を示していた。同時に中国は覇権国となることはなく、平和的に調和する世界を目指す旨を強調すると共に中国の社会が急激に変化を遂げていることを理解すべきであり、硬直的な旧来のままの中国観を以て現代中国を観ることの誤りを訴える主張もみられた。
東アジアの地域協力の進展を背景に東アジア共同体論が喧伝されているが、ASEAN自体が必ずしも一つに纏まっている訳ではない状況の下で、中国としては東アジア共同体の形成に主導的に動くことはないとの議論がみられたのが興味を惹いた。
Think Tankの役割については中国を始め多くの途上国では程度の差はあれ、いずれも政府の助成によって研究活動が行われている事が明らかであった。その観点から研究対象に政府による何らかの制約が課されるか否かについて、中国側は基本的には特段の制約は課されていないとしつつも、政府の政策を多少とも意識せざるを得ないのが実態であるとされた。中国にも政府、党、大学によって運営されている数多くの研究機関が存在するが、それぞれ別個の研究活動に携わっている。また政策指向なのか学術的専門分野に特化しているかによって特色がみられるとの報告がみられた。
米国の研究機関では所謂回転ドア現象が普通にみられ、政権交替時に政府高官が民間の研究機関の役員及び研究者として迎え入れられ、一方で新政権の高官として就任することによりCSIS, Brookings, AEIといった著名な研究機関が政府高官の供給源としての役割を果たしているが、米国以外ではこの様な慣行はみられないとされた。
最近、日本において補助金の廃止及び削減という政府の基本方針の下で、補助金の大幅なカットが行われており、補助金の助成に依存することの多かった多くの研究機関が財政的に非常に苦しい運営を迫られている情況について説明したが、政府助成以外の方途によって資金の調達をはかる必要性については共感を得られた様に思われる。
これまで所謂トラック2と称せられる民間レベルの国際会議が各国間の対話の深まり、相互理解の増進の上で果たしている役割の大きさは今更言を待たないところであるが、グローバリゼーションの流れが益々強まっている折柄、Think Tankと称せられる研究機関に所属する研究者によるトラック2の会合の積極的な評価が求められるところであり、政府間交渉や協議が民間研究機関の側面的な支援によってより円滑に行われるよう期待したい。
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