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2020-09-07 00:00
次期政権の最大課題は「抑止力」確立
加藤 成一
元弁護士
安倍晋三首相は8月28日、辞任する意向を表明した。歴代最長を誇った安倍政権は2012年12月の第二次安倍内閣発足から約7年8か月で幕を閉じる。この間、安倍政権は斬新な金融財政政策である所謂「アベノミクス」により、円高是正、デフレ脱却、経済再生を成し遂げ、雇用を増やし、株価を上昇させ、企業収益を向上させ、持続的な経済成長を可能にした。これは安倍政権最大の功績と言えよう。
のみならず、安倍政権は日本の安全保障分野での功績も著しい。即ち、日本の安全保障の根幹である日米同盟関係を一層強化発展させ、2015年には米国との集団的自衛権の一部行使を容認する「安全保障関連法」を成立させた。これは国連憲章51条で国際法上容認されている集団的自衛権の一部行使を可能にする画期的な功績である。中国や北朝鮮の脅威を考えれば、安倍政権が成立させた「安全保障関連法」の意義は今後も極めて大きい。成立当時、一部野党やリベラル系学者などは、事実に反する悪質な内容を含む批判を展開して猛反対したが、今では安倍政権下で成立したこれらの法律は国民に広く受け入れられている。
そして、安倍政権の遺産と現在の安全保障環境を考えれば、次期自民党政権の最大の課題は日本「抑止力」の確立である。例えば、中国は、1987年に米ロ間で締結された中距離核戦力(INF)廃絶条約の埒外であることを奇貨として、最大射程500㎞~5500㎞の中距離弾道・巡航ミサイルを次々と開発してきた。これにより、米軍は空母の活動範囲や沖縄やグアムの米軍基地の運用のあり方を見直すことを強いられている。これは所謂「接近阻止・領域拒否」戦略の成果であり、厳しさを増す北東アジアの安全保障環境を象徴している。対する日本の動きとして、現政権下で道筋をつけつつある「自主防衛力の強化」(いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有)などが一例としてあげられるが、このような「抑止力」の確立は次期政権の最重要課題のひとつといえよう。
というのも、中距離ミサイルの領域では、米国に対して中国の優位性が当分続くとみられているからだ。米国など西側諸国の推定では、中国はINF廃絶条約の対象となる中距離弾道ミサイル等を約2000発保有する。これは、日本、韓国、台湾の空軍基地や重要インフラに対して、反撃能力をしのぐ「飽和攻撃」を仕掛けるに十分な規模である。しかし、トランプ大統領が2019年2月1日に同条約からの離脱を発表まで33年間も制約を受けてきた米国にはこれに匹敵する中距離ミサイルがない。したがって、日本は、米国と緊密に協力し中国に劣る分野の共同開発を進め、対中「抑止力」強化に全力を傾注すべきである。さらに、核抑止力強化のため、米国との「核共有」も検討すべきであることは過去にも述べた (2020年8月7日付「百花斉放」掲載の拙稿「米国との核共有を検討せよ」参照)。このように、日本国の存立と平和は、国民生活安寧の大前提であり、それが今、揺らいでいる。だからこそ、次期自民党政権の最大の課題は日本の「抑止力」の確立なのである。
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