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2020-08-19 00:00
(連載2)政府が進める「日の丸」ビジネスについて
真田 幸光
大学教員
しかし、そのリージョナルジェット市場の80%を握るカナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエルをそれぞれエアバスとボーイングが買収し、市場に牙城を築き、更に、中国本土までもがリージョナルジェットと中型旅客機を開発し、自国中心の普及に乗り出していますから、三菱航空機が進めるスペースジェット・プロジェクトは、国際市場から見ても今後も苦戦を強いられるかもしれません。
ところで、考えてみますと、日本政府主導でつくった企業連合を意味する「日の丸連合」の危機は今回が初めてではなく、この20年間に少なくとも数回の失敗があったと見られています。即ち、日本は1999年にNEC、日立製作所のDRAM事業を統合し、エルピーダメモリを設立、当時半導体市場を掌握しつつあった韓国を打倒し、1980~1990年代の半導体産業の栄光を取り戻す狙いが見え隠れしていました。また、2003年には三菱電機のDRAM事業を吸収し、企業規模を拡大しましたが、時間が経つにつれて業績は悪化し、日本政府は2009年、エルピーダに公的資金300億円を投入して支援を行いましたが、結局エルピーダは2012年に破産を申請、翌2013年には米国のマイクロンに吸収されて消滅しました。
また、このエルピーダが破産した2012年にはソニー、東芝、日立の液晶ディスプレー(LCD)事業部を統合し、ジャパンディスプレイ(JDI)が設立されましたが、半導体と同様、LCD事業でも韓国に押されたことから、政府主導で各社のLCD事業を束ねて勝負するものと見られましたが、数千億円の新規投資をしても結局は韓国には追い付けず、アップルとの納品条件で失敗し、赤字が拡大、経営難の末、JDIはLCD事業を大幅に縮小し、今年には主力工場まで売却するに至っています。
如何でしょうか?私は、こうした状況からしても、残念ながら、日本政府には、ビジネスマインドに欠け、また、量を意識し、質に対する意識の弱くなった大企業の体力勝負的経営に固執する経営者にも、厳しい国際ビジネス市場で生き残るノウハウにも欠けていると考えざるを得ないと見ています。ビジネス界の侍ジャパンを考えるときには、やはり、真に実力、実績ある首脳陣と一流選手を集めて、国際社会で戦わないといけないことは明らかではないでしょうか。「頑張ろう、ニッポン」です。(おわり)
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