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2007-07-03 00:00
戦略的・外交的視点が欠ける参議院選挙
村田晃嗣
同志社大学法学部教授
6月後半に久しぶりにワシントンに出かけ、沖縄問題をめぐるセミナーに出席する機会をえた。日本ではすでに国会で米軍再編法が成立し、沖縄問題に関する関心は急速に低下しているように思われる。日本ですらそうであるから、ワシントンでこの問題に関心を有する人は一握りにすぎない。それでも、アメリカの沖縄総領事経験者数名をはじめ、数十人の実務家や学者が、われわれのセミナーに顔を出してくれた。
彼らの議論は、米中の核のバランスから、アメリカの対日拡大抑止、北朝鮮の核開発問題、さらには、日本での核武装論議、そして、いわゆる従軍慰安婦問題をはじめとする日本の「歴史修正主義」にまで及んでいた。こうした戦略的・外交的な大所高所から沖縄問題を検討する視点が、日本では著しく欠け、もっぱら地元対策の議論に終始しているのではないか。日米の視点の非対称性を痛感したところである。
安倍内閣にとって死活的な試金石となる参議院選挙を1ヶ月後に控えて、日本では年金問題が唯一の争点になりつつあるが、グローバルな米軍再編問題や地球環境問題、北朝鮮問題など、日本が長期的視野に立って議論すべき外交上の争点は少なくない。与野党も有権者も、このことを忘れてはなるまい。
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