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2020-07-29 00:00
(連載1)沖ノ鳥島近海での中国の調査について
緒方 林太郎
元衆議院議員
中国が沖ノ鳥島を基点とする排他的経済水域において海洋調査をしている事が問題になっています。中国は沖ノ鳥島を、国連海洋法条約第121条3における「岩」だと主張しています。法文は以下のようなものです。
【国連海洋法条約】
第百二十一条 島の制度
1 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
(略)
3 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。
つまり、こういう事です。「沖ノ鳥島はたしかに日本の領土だ(注:中国もそれは否定していません)。ただし、沖ノ鳥島では(人工物が無ければ)『人間の居住又は独自の生活を維持すること』は出来ない。だから、排他的経済水域も大陸棚も有しない。だから、日本の主張する排他的経済水域のエリアで何しようがゴタゴタ言われる筋合いはない。」というのが中国の主張です。
私は(自分で言うのも何ですが)沖ノ鳥島について結構、秀逸な質問主意書を出しています(
質問
、
答弁
)。ちょっと解説します。まず、野田政権時の平成24年、日本は国連で沖ノ鳥島関係で結構な得点をしています。何かというと、大陸棚延長申請に関する大陸棚限界委員会という所から出た勧告で、「四国海盆海域について,沖ノ鳥島を基点とする我が国の大陸棚延長が認め」られました(
外務報道官談話
)。これは何かと言うと、沖ノ鳥島は大陸棚を持つような島だという事です。民主党政権が嫌いかどうかは結構ですので、当時の野田政権の成果としてここは素直に評価すべきでしょう。これは本当に信じられないくらいの成果です(多分、中韓は見逃したのでしょう)。
そこで、私は「沖ノ鳥島が大陸棚を持つのであれば、国連海洋法条約第123条3で言う所の『人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩』ではないよね。」と聞いています(問三)。答えは「国連の委員会はそういう事を決める権限はない。ただ、日本として『人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩』だとは思っていない。」となっています。この国連海洋法条約第123条3は解釈が色々とあり得ます。中国は「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」ものが「岩」である、と考えているはずです。日本の解釈としてあり得るのは、「島」か「岩」については別途の定義があって、その「岩」の中でも「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」ものが排他的経済水域や大陸棚を有しない、という事ではないかなと思います。ただ、それらの解釈論がどうであっても、上記の勧告で日本は「沖ノ鳥島が大陸棚を有する島である」という重要な成果を取っています。大陸断を有する以上、排他的経済水域も有する事になるというのは当然です。(つづく)
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