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2020-07-22 00:00
(連載2)虚偽を解明する「ファクト・チェック」を推進せよ
中村 仁
元全国紙記者
16日の新聞には、森友学園事件を巡る財務省の公文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局職員の妻が起こした損害賠償訴訟(1億1200万円)の記事が載っていました。「夫の自死の真相を知りたい」と迫る妻に対し、国と佐川氏(当時の財務省理財局長)は争う姿勢を見せたと、あります。新聞は両者の言い分を並べています。裁判だから判決がでるまで待とうということなのでしょう。それにしても佐川氏側の「判例上、公務員の不法行為を問う国賠訴訟では、公務員個人は賠償責任を負わない」という主張は、この事件は該当するのか、しないのか。新聞には「佐川氏による露骨な文書改ざん指示、主導は犯罪的な行為であり、この判例を適用するのは疑問だ」くらいの指摘はあってほしい。さらに、その判例の紹介、法律家によるコメントは記事掲載の必須条件です。
この日の新聞には、日銀が金融政策決定会合で、新型コロナ対応の大規模な金融緩和政策の維持を決め、黒田総裁の記者会見の詳報(日経)も載っています。会見の発言だから、そのまま載せておけばいいということはありません。虚偽に近いような部分がいくつかあります。黒田総裁は「2%の物価上昇率目標は、目標も手段も適切だ」と主張していますが、手段が適切なら目標が達成されているはずです。もう10年も0%に近い水準が続き、だれも実現できるとは思っていないにもかかわらず、さらに「(見直す考え)は全くない」と強調しました。虚偽というのは言い過ぎにしても、黙殺していい発言です。さらに「財政政策と金融政策のポリシーミックスが実現されている。金融・金利政策は財政ファイナンス(日銀による国債購入)ではない」とも述べていますが、これは虚偽に近い説明です。ポリシーミックスと言えば、聞こえがいいだけです。「財政赤字支援のために中央銀行の独立性が失われている」というのが日銀による国債購入が示す実態です。
安倍首相もコロナ対策で1次、2次にわたり、200兆円もの補正予算を組み、財政赤字の拡大に危機感を持つべきです。それにもかかわらず、安倍首相が海外に向け「世界最大級のコロナ対策」と胸を張ったのには、驚きました。「世界最大級の財政赤字国」が正解なのに、実態を隠した発言です。ではどうするのか、それを識者はあまり触れたがらない。権力を持った者に、識者も及び腰になる時代です。
情報伝達が加速し、ちょっとしたことから大火になり、対立の火種になるので、政治はますます真実、事実を隠したがる。ウソの情報を故意に流す動きをチェックするのが第一種の「ファクト・チェック」とすれば、現実と違う発言や政策の虚偽を解明する第二種の「ファクト・チェック」が、それに劣らず必要です。(おわり)
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