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2020-07-18 00:00
コロナ・モラトリアムと大統領選
大井 幸子
国際金融アナリスト
米国では新型コロナウイルスの感染者が320万人を超える中、あくまで経済活動を続けていこうとしている。一般市民は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との長期戦に備え、どんな気持ちで日常を送っているのだろうか。コロナショックで失業が急増する中、米国国民は割と手厚い補償を受けている。4月半ばから後半にかけて一人1200ドル(約13万円)が支給された。また、失業者には通常の失業保険に加えて、コロナ失業給付金が週600ドル給付される。1ヶ月で2400ドル(25万6千円)である。他にも家賃が払えない人への給付金があり、数ヶ月は強制的な失業状態でも何とか生活をやりくりできそうだ。生活不安は今のところは差し迫っていないため、アメリカ国民はデジタル化とコロナ共生経済の間で不安と期待が入り混じった「モラトリアム」期間に置かれているといったところだ。
アメリカ国民はロックダウンで外食やショッピング、旅行や娯楽でいつもの消費ができない。お金を使わないので手元に給付金が残り、貯蓄が増えている。通常不景気になれば失業が増えて個人所得の伸び率は低下する。しかし、今回のコロナショックでは国民個々への強力な支援により個人所得が一時的とはいえ上がっているという、前代未聞のリセッションが生まれている。しかし、モラトリアムはいつまでも続くわけではない。コロナ失業給付金は7月で終了する。その他のコロナ関連給付金も12月で終了する。
そして、11月3日には大統領選挙がある。このところ、米国メディアでは、バイデン候補優勢を伝えている。コロナ禍、黒人差別問題を発端に大都市ではデモや暴動が起こり、メディアはトランプ大統領が諸悪の根源のような報道をしている。先日、バイデン候補は75兆円ものニュー「ニューディール」政策を発表した。これまでも彼の政策は富裕層に高い税率をかけるなど社会的平等を強調してきたが、さすがにニュー「ニューディール」の大量バラマキ政策は、社会主義あるいは共産主義に近い。
今、モラトリアム期間の大きな社会変動を経て米国はパラダイムシフトを起こしている。この大事な時期にバイデン大統領誕生となれば、米国が社会主義化あるいは共産化し、国民は労働意欲を失い、米国の資本主義が壊れ、社会のダイナミズムは失われてしまう。このような米国の精神性を揺るがす変化を米国民が許すわけはない。トランプ対バイデンの選挙戦では、米国のサイレントマジョリティーは消去法でトランプを選ぶと、私は予想している。
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