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2020-07-09 00:00
(連載1)ドイツの憂鬱
岡本 裕明
海外事業経営者
ドイツが苦しんでいます。経済が堅調だったのは2017年末まででその後、GDPはゼロ付近をさまよっていました。今年の1-3月に及んでマイナス2.2%となり、2009年以来の下落幅となりました。また、1-3月はコロナによる経済封鎖期間が2週間ほどだったのにこれだけのマイナス幅となっており、4-6月は「顕著に低調となる」と見込まれており、3期連続のマイナス成長は確実視されます。
この数年の間にドイツはビジネスイメージを大きく毀損させてしまいました。ドイツ銀行の経営不振とフォルクスワーゲンの不正問題であります。両社とも倒産こそ免れていますが、市場に残した爪痕は大きいものでありました。そんな中、ドイツ政府が必死に支援した業界がテクノロジー系でありました。ドイツはIoTなどを含めたテック産業の育成に努めていますが、世界で名が知れたドイツ企業はビジネス向けソフトウェアのSAPが業界で世界4位となっているほかはあまり目立った成長企業がありません。そんな中、期待の星とされていたのがWirecard(ワイヤーカード)社で決済サービスを行うフィンテック企業として著名であります。同社は株価指数を決めるDAX30(ドイツ主要30社)にも入っていました。
そのワイヤー社に本来あるはずの19億ユーロ(2300億円相当)がないことで大騒ぎとなり、前CEOが警察に出頭し逮捕される事態に発展しました。経理上、この19億ドルはフィリピンの2つの銀行に預けてあるとされていたのにフィリピン側がその存在を否定、架空取引で帳簿を膨らませていた疑いがもたれています。当初、この事件は19億ドルを持ち逃げされたのではないか、という見方もあったのですが、そもそもなかった可能性が高まっており、企業統治、会計士E&Yの責任、ドイツ威信を含め、問題が佳境となっています。
会計会社のKPMGが独立調査の任を受け2016年から18年の会計処理を中心に特別調査を行っていますが、その問題が表に出始めたのは昨年の秋、そして6月初めに当事者で逮捕されたマークス ブラウンCEOが辞任と混迷の度合いを深めていっています。問題はアジア地区の取引にあるようですが、第三者企業も絡んでおり、かなり複雑な様相となっています。(つづく)
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