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2020-07-01 00:00
(連載1)空軍参謀総長人事と国民統合
倉西 雅子
政治学者
アメリカ空軍の参謀総長の職に米国史上初めて黒人のチャールズ・ブラウン氏が就任する運びとなったそうです。議会上院は、トランプ大統領の指名を98対0で可決したというのですから、圧倒的な支持を得ての就任となります。同人事の背景には、白人警察官による黒人男性暴行死事件を発端とした抗議デモの広がりが指摘されておりますが、同大統領は、‘危険な賭け’に打って出たようにも思えます。
指名権を有するトランプ大統領による史上初の黒人参謀総長の起用は、既に指摘されておりますように、国民統合政策の一環であったのでしょう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による感染率や死亡率、並びに失業率の高さもあって黒人層は現状に不満を募らせているからです。白人層との間の経済・社会的な格差が今般の米国内の暴動激化の一因ともされています。人種間のみならず、大統領選を背景とした政治的対立がアメリカを引き裂きかねない状況下にあって、同大統領、並びに、アメリカの政界は‘全会一致’でブラウン氏を空軍の参謀総長の座に就けたのでしょう。
そして同人事は、米中対立の構図にあって、とりわけ重要な意味を持ちます。何故ならば、近い将来において対中戦争があり得るならば、人種や民族の違いを超えた米国民の団結は必要不可欠であるからです。米空軍のトップが黒人であれば、白人層も黒人層も一致団結して共通の敵である中国に対峙することができます。つまり、同人事を以って、アメリカ国内の対中戦争の準備が国民の心理面において凡そ整ったとも言えるかもしれません。因みに、第二次世界大戦にあっても米軍における黒人兵士の存在が、完全にではないにせよ、その後の黒人層全体の地位向上に貢献したとも指摘されています。
同人事を以って米国民の結束が強まればトランプ大統領は‘賭けに勝つ’ということになるのですが、負けるリスクもないわけではありません。そして、この‘危険な賭け’の勝敗は、偏にブラウン氏のアメリカという国家に対する忠誠心の如何にかかってきます。(つづく)
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