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2020-06-24 00:00
(連載1)召集されない臨時国会と不作為の違憲性
真田 幸光
大学教員
常会(通常国会)は、日本の国家予算一般会計約100兆円のほぼ10%に当たる10兆円規模の予備費を認める法案を可決して、6月17日(水)に散会しました。日本の政局を見ていると、安倍政権はこのまま「新型コロナウイルス対策に全力を尽くす」として、臨時会(臨時国会)を開催しない方向にあると見られています。野党はこれに対して「縛りの弱い予備費の運用を、国家予算を何に使って来たのかを明らかにしない安倍政権に託すわけにはいかない」として、臨時会開催を求めています。
日本国憲法の第五十三条では、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」としており、野党がこの25%を超える要請すれば、臨時会召集を安倍政権はしなければなりません。ところが、同じような状況となった2017年では、臨時会が召集されませんでした。即ち、安倍政権は、五十三条は臨時会の召集をしなければならないとしているものの、「いつまでに」と言う明文がないことを理由として、臨時会を召集しなかったのであります。
これに対して、沖縄では違憲訴訟が起こりましたが、今般、那覇地方裁判所では、判決文の中で、臨時会召集をしなかったこと自体は、違憲であるとの司法判断を示しました。即ち、「憲法五十三条に基づき野党が臨時会の召集を求めたのに対し、安倍内閣が3カ月間応じなかったことが憲法違反にあたるかが問われた訴訟の判決が6月10日、那覇地裁であり、山口和宏裁判長は、安倍内閣の対応そのものが違憲か否かの結論は出さなかった一方、内閣は召集する法的義務を負う」との判断を示したのであります。
原告側弁護団によると、臨時会召集について定めた憲法五十三条に関する司法判断は初めてです。そして、判決は、「要求に応じなかった場合は違憲と評価される余地がある」とも指摘しています。野党議員ら原告側が国に求めた損害賠償は退けたことから、政府は形の上では勝訴しましたが、「臨時会召集の法的義務がある」ことが明示されたことにより、実質的には敗訴したとも言えます。そして更に、政府は勝訴したので上告出来ず、判決は確定しました。即ち、これが、「先例」になるかと思います。(つづく)
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