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2020-06-11 00:00
(連載1)単なる人種差別と決めつけてはアメリカ社会を見誤る
岡本 裕明
海外事業経営者
ミネアポリスはアメリカの地図で中央の上部に位置します。5月25日の夕刻、同地の警察に確保され、押さえられたジョージフロイドさんが警察の過剰な対応により死亡しました。これを受け、全米各地にデモが広がり、外出禁止令が出され、件の警察官らはこの手の事件としては異例の早さで逮捕されました。が、デモは収まらず、コロナからの緩和でようやくひと息つきはじめたアメリカ経済に再び水をかけるような事態となっています。
この事件をどう理解すべきでしょうか?たまたま黒人だったのでしょうか?あるいはたまたま警官がやり過ぎたのでしょうか?凶暴犯を銃殺することもしばしば起きるアメリカに於いて今回の事件をどこまで特別視するのか、世論を一方的に鵜呑みにもしにくいところがあります。
私どもで共同管理しているカナダ、バンクーバーの地下駐車場は車上荒らしや駐車場から建物への侵入者、更に駐車場内に不法に侵入し、夜を明かすホームレスといった問題に常に直面しています(どこの駐車場も同じです)。今から数年前、なかなか捕まらない同一犯が繰り返し犯罪を犯す中、我々関係者と警察で捕まえるべく追っていました。午前4時、その犯人2人が駐車場に侵入したのを建物のコンシェルジュがセキュリティカメラの画面越しに発見、警察に通報します。警察も今回ばかりは逃がさないと10人以上が数台のパトカーで集まり、全ての出入り口を封鎖、犯人を追い詰め、最後、入り口近くで取り押さえられます。が、そのシーンを映し出したセキュリティカメラの画像は生々しいものでした。数人の警察官が犯人をぼこぼこにするのです。残ったのは犯人の血痕。この犯人グループは2人とも白人であり、その手荒い逮捕劇からすると人種の差別感よりも悪を力で抑え込み、二度とできないようにしてやるといううっぷん晴らしのようにも見えました。
ミネアポリスの事件も警察官が黒人だからという意識をどこまでしていたのかわかりません。北米の警官がなぜ、冬でも半袖の制服を着ている人が多いのか、それは強さを見せるための示威行為なのだろうと思います。筋肉が盛り上がる腕から強そうだというイメージを見せつける警察の独特のパフォーマンスが時として過剰な行為につながり、今回のような問題を引き起こします。(つづく)
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