ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2020-05-31 00:00
(連載2)「命」と「経済」のバランスを取れるか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
基本的に「政策」は「バランス」が肝である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して言えば「死者を出さない」ことと「経済後退を最小化する」ことが最も重要だ。まず新型コロナウイルス感染症の様子がわからない間は、どの国も最も厳しい感染防止策及び死者抑制策を出すのが普通なのだが、ある程度被害を把握できるようになってくれば、当然に「経済活動の再開」が話題になる。いつまでも経済活動を行わないということはできないからである。4月には「早く緊急事態宣言をしろ」といっていた人が、いつの間にか「早く着緊急事態宣言を止めろ」とたった1カ月で変わってしまうのである。
政府も同じだ。単純に言えば、経済活動をしなければ、財政が持たない。日本は金持ちだというようなことを言うが、政府財政は、国富とは異なるからだ。GDPと国家予算は全く違うものであるが、なぜかその辺を冷静に解説するマスコミがないのである。実際、多くの国の政府が今回の新型コロナウイルス感染症に伴う財政問題に直面している。
例えば、比較的被害が抑えられているインドネシアの現地政府は、「我々は国民を感染からだけでなく、失業からも守らなければならない」と発言し、これまで実施してきた首都圏など31自治体で職場勤務などを禁じる「大規模な社会的制限」(PSBB)について、これを方針転換し、45歳以下の勤務を促すため、緩和を模索している。まさに「死ななければよい」という政策から「経済困窮で殺すことをしない」という政策に代わる潮目にあるのである。
つまり、新型コロナウイルス感染症の被害抑止だけに傾注するだけではなく、経済活動をどのように考えてゆくのかということが大きな問題になるということだ。日本よりも被害が大きいインドネシアであっても経済を重視している。日本もコロナウイルスばかりではなく経済に関する意識も向けるべきである。働かずに金をくれというばかりでは維持可能性がない。せっかく「感染者数を増やさない」ことよりも「死者数を増やさない」という着眼点の良さをみせた日本である。ここで経済活動の正常化についてもうまくやっていけるか、政府と国民の正念場である。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム