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2020-04-24 00:00
(連載2)コロナ禍で新聞の苦境が鮮明に
中村 仁
元全国紙記者
配達という手足をもがれる新聞本社も苦悶を深めています。ネット版が好調だと強調している日経新聞の紙版を見ますと、苦し紛れの広告が目につきます。たとえば、子会社の日経テレコンの広告「日経業界分析レポートのダウンロードを」や、日経人材事業局の広告「話せる英語力のテスト測定を」が広告欄を埋めているのです。
朝日はどうか。料金が低いと思われる出版社の書籍広告が1面から7面へと、並んでいます。さらに反響が測定できるので買いたたかれる通販広告が多いですね。読売も苦悶しています。「往復バス、那須高原で春を満喫」「京都の仁和寺の国宝初公開展」などは、外出自粛、他人との接触回避が国や自治体から要請されている時期に不似合いの広告です。コロナ禍がなければ、7月開催の東京五輪に向け、五輪パートナーの大々的な広告が満載されるはずだっただけに、各紙とも頭を抱えています。
新聞の発行部数は2018年、全国で4000万部弱、その10年前は5000万部でした。総売上高はその間、2兆円から1.6兆円に減りました。うち、広告収入は4800億円から3300億円に急落という惨状です。そこまで減った広告収入にコロナ禍で激震が走る。全国紙から下位2社の脱落が迫っています。「2021年卒大学生の就職人気ランキング」(日経、マイナビ調査、8日付)によると、新聞は上位100社にどこも入っていない。入院患者の受け入れで、コロナ問題で評判をとったアパホテルが100位につけているのが印象的でした。新聞を読んでいる学生は激減しているから当然なのかもしれません。
人口減、ネット対応の遅れが進んでいるのに、戦後に確立された一県一紙が崩れず、全国紙は5紙体制が長期にわたり続く。硬直しすぎた企業構造、他業界からの参入の阻止、社外からのチェックが効かない独裁的経営者の多さなどの代償を払う時期が本当にきているのかもしれません。(おわり)
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