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2020-04-02 00:00
(連載2)新型コロナとの共存
中村 仁
元全国紙記者
もちろん重症患者に集中治療を施す、ワクチンを開発する、ウイルス検査を強化することが急務にしても、長期的には集団免疫を獲得することが最大の治療法になる。なるほど。さらに社会システムもこのままでいいかを考え直す。困るのは「流行が収まり、ウイルスは永遠に消えたのか、どこかで深い眠りについたのかが分からないことだ」と。解剖学者の養老孟司氏は、ウイルスとの共存論を唱えます。「人間に都合のよくない新型コロナが登場してしまったからには、共存するしかない。感染者がゼロになっていなければ、再び広がる可能性はある。ゼロになったかどうかは、人間には分からない」(読売3/28)と。なるほど、共存か。日本向けの出版も多い多いフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は、感染症対策で外出禁止だそうです。日本人記者へのメールで、突然、非日常的な日々を強いられるようになったことについて「われわれの世代がグローバル化を手放しで礼賛してきた結果だ」(朝日新聞3/29)と、指摘してきたそうです。
コロナの感染拡大は株の暴落を招いています。トランプ氏が大統領に就任した17年1月はダウは2万ドル、就任後のピークは約3万ドル(20年2月)でした。ダウは乱高下を繰り返しながら、2万ドルを割り、トランプ氏の経済的業績は自己破産したような状態です。FRB(中央銀行)に圧力をかけ続け、量的緩和の拡大、金利引き下げ、財政膨策によって、過剰なマネーが株価を引き上げてきました。金融財政という政策の後押しで株価をつり上げ、株価水準で経済的業績を計る、誇る。この「株価偏重主義」が米国社会の格差を拡大してきました。大統領選挙に影響がでるのでしょう。
安倍首相のアベノミクスも、黒田日銀総裁と組んで推進した異次元金融緩和・ゼロ金利政策が株価をつり上げ、投資家の気分をよくしてきました。当初、狙った「脱デフレ、2年で消費者物価2%上昇」に見るべき成果はなく、その代わりに株価は9000円から2万4000円まで上昇し、現在は1・8万円程度まで下落しています。実体経済以上に相場が高騰していたバブルだったのでしょう。
コロナ禍はグローバリゼーションを軸とする現代社会のあり方を問い直す機会であるとともに、株価で経済状況を計る「株価至上主義」のもろさを教えている。バブルが半ば周期的に発生し、何かのきっかけで破綻する。破綻する際に経済社会に深刻な打撃を与える。その怖さを思い知らされています。(おわり)
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