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2020-03-27 00:00
(連載2)陰りが見える露土友好関係
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
エルドアン大統領は独裁色を強めてきたが、国内経済の不調により政治力にかなり陰りを見せている。経済問題の一つは、ヨーロッパから受け入れているシリアや北アフリカの難民である。トルコは約450万人といわれる難民を受け入れており、その生活費や経費などはすべてトルコが負担している。というのも、当初無制限に難民を受け入れていたEUが方針転換しその難民をトルコに押し込んでいるからだ。
そして、トルコはその難民を引き受ける代わりに、EUとの間の外交関係を優位に進めていたのだが、そのEUとの交渉にあたってロシアがある程度経済的に支援していた形跡があるのだ。言い換えれば、ロシアがトルコを使って間接的にEUに干渉していたということになる。ということは、語弊がある言い方になるが、露土友好関係とは金の関係ということだ。その関係が崩れてくるのはロシアがトルコを支援しきれなくなった場合であって、トルコがロシアからの金で難民を賄いきれなくなった場合である。
さて、シリア内戦において、最近になって優位になってきたアサド政権はその動きが強気に変わってきている。反転攻勢を強めるアサド政権は「自分に反対する集団はすべて抹殺する」という方針になっており、それはロシアにとっても都合がよいのでロシア軍は空爆を通して力を貸している。アサド政権はロシアだけでなくイランとも関係が深いがそれは両国が「シーア派」であるからであり、よってシリアが攻撃している先は「スンニ派」、つまりロシアが空爆しているのも「スンニ派」である。対してトルコは「スンニ派」であるから、トルコにとってロシアのシリア空爆はジレンマを生じさせる。トルコは「スンニ派の盟主」という立場と「ロシアとの友好関係」という二つの板挟みにあっているのだ。そのような情勢下で、トルコ兵とアサド軍との間で戦闘が起きトルコ兵が死亡するという事件が発生している。これはロシアが、トルコ軍への攻撃に肯定的とも解釈もでき、今後の緊張が懸念される。
もともと歴史的に対立しやすい露土関係にあって、ギュレンのクーデターを契機として一時的に蜜月になったという感じの両国。そのエルドアンが経済問題で徐々に支持率を失ってきた状況で、ロシアも予てからの経済制裁と資源安で無い袖は振れない。ロシアもトルコも国際情勢に与える影響力は大きい。今後どのように両国家間が動くのかはユーラシアのダイナミクスをフォローする上で重大な要素だ。(おわり)
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