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2020-03-20 00:00
(連載1)緊急事態宣言と民主主義の強化はセットで
倉西 雅子
政治学者
新型コロナウイルスの感染拡大は、政府の判断ミスと不手際が重なったこともあり、日本国の防疫体制の脆さを露呈することとなりました。有事に際しての生物兵器の使用もあり得る時代ですので、法整備が急がれるところなのですが、その一つとして進められているのが首相による緊急事態宣言の発令です。
フランス第五共和国憲法をはじめ、諸外国の憲法を見ますと、大抵の場合、大統領権限の一つとして非常事態宣言の発令権が記されています。憲法に同規定を置かないアメリカでも、1976年に大統領に同権限を付与する国家非常事態法が成立しています。戦争や大規模な自然災害など、全国民の命が危険に晒されるような危機が発生した場合、個々の国民が自由に行動しますと混乱の内に多くの国民が犠牲になりますので、同宣言の発令により、緊急時における一時的措置であれ、私人の基本的自由や権利を一定の範囲で制限する必要があるからです。理屈としてはその通りであり、誰もが納得するところなのですが、私権の制限が不可避となりますので、同宣言を警戒する向きもないわけではありません。国家が国民から基本的な自由や権利を奪う口実に使われるのではないか、という…。
それでは、日本国の現状はどうでしょうか。日本国は議院内閣制を採用しておりますが、日本国憲法には、首相に対して非常事態宣言の発令を認める条文は置いていません。このため、日本国では、緊急事態が発生したとしても政府は強制力を伴った私権制限的な措置を採ることができず、同宣言の欠如が日本国の存立と国民の生命を危うくすると指摘されてきたのです。
こうした状況下にあって、突然に新型コロナウイルスの問題が持ち上がったのですが、指摘されてきた懸念は現実のものとなり、自宅待機を‘要請’された感染者が外出する事態も報告されています。‘ウイルスをうつしてやる’と言い放ってタクシーで家を出て繁華街の飲食店で遊んでいた感染者もいたというのですから驚きです。感染者が意図的に伝染病を他者に感染させた場合には、刑事罰の対象になると共に賠償責任も生じるらしいのですが、それでも、強制力を以って外出を禁じていたならば、感染拡大は防げたはずですし、他者の健康を害することもなかったはずです(うつされた側は怒り心頭に発するはず…)。(つづく)
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