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2020-03-12 00:00
中国の危機感、日本の危機感
真田 幸光
大学教員
私は、中国本土・習近平指導部がこの三月に予定されている全人代を延期することはまずないであろうと考えていました。何故ならば、全人代は中国共産党の威厳・DIGNITYの象徴中の象徴であり、これを開催しないということは、自ら、威厳・威信の低下を認めたことにも等しく、そうしたことをするはずはない、と考えていたからであります。しかし、こうした私の予想は見事に外れました。
そして、巷では、全人代延期の背景として、(1) 全国各地で開催される地方単位の共産党会議が開催されぬ中、全人代を行うことはできなかったのではないか。(2) 全人代では、毎年、その年の年間経済見通しと経済政策が議論されるが、先行き離見えぬ新型コロナウイルスの影響で予測が立たず、経済見通しが示せぬことも全人代延期の背景となったのではないか。という声が出ています。私もこうした意見を否定しません。
しかし、今回の全人代延期の最大の背景は、(3) 新型コロナウイルスをこれ以上拡散することを回避すべく延期した。と考えるのが最も素直な解釈であると思います。全国各地から集まった中国本土の首脳部5,000人強に新型コロナウイルスが万一でも蔓延すれば中国本土は指導層の多くを失います。その上、その指導部が地元に戻り、スーパースプレッダーとなって新型コロナウイルスを更に中国本土各地にまき散らすと言った事態ともなれば、中国本土は体制維持ができません。そして、最高指導部そのものが、新型コロナウイルスへの恐怖を持っていることも否めません。こうした中国本土の状況を見ていると、新型コロナウイルスの発生源となった中国本土の最高指導部自身は、私たち日本人以上に今回の事態を強く懸念しているのではないかとの見方も出てくるのであります。事態は深刻です。
もう一つ、真田の懸念をご報告します。以下は、敢えて硬い文章にしています。世界的な外信の一つとして知られる、ロイター通信は東京発の報道の中で、大混乱となっている新型コロナウイルスの日本政府の対応に関して、「日本は感染症に対する戦略を変え、感染拡大のスピードを減速させて死者を最小限に抑えようとしている」と報じている。更に今夏に予定されている東京五輪にも触れ、「日本政府は五輪の東京開催を誓い、ウイルスの封じ込めに大規模な催しやスポーツイベントの中止、縮小を求めてきた」とこれまでの対策も詳報している。こうした外信の報道を見ていると、(1) 日本政府のこれまでの新型コロナウイルスに対する戦略には遅れが見られたが、ここに来て戦略を変えてきた。(2) しかし、日本政府は、初期動作が遅れると言う過ちを犯してきたのではないかと言う暗に批判をしている。(3) 更に、そうした戦略の遅れを示した背景には、東京五輪を予定通り、行う為、日本は大丈夫であるという発信を世界に対してしようとしすぎた為、かえって、これが裏目に出た。(4) こうした結果、日本政府の対応に対する世界の信頼感はかえって落ちてしまった。と伝えているようにも映る。日本政府の今後の真摯な対応が必要になってきていると考える。
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