ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2020-02-27 00:00
(連載1)投票行動でしか日米の「法の正義」は取り戻せない
中村 仁
元全国紙記者
「法の正義」「法の支配」が揺らいでいます。その震源地はトランプ米大統領です。いわばトランプ症候群です。中国、ロシアには期待できなくても、民主主義国では「法の支配」が社会の基本的な原理であるはずなのに、そうではなくなりました。日本もトランプ症候群に陥っています。
重大なのは、トランプ米大統領の弾劾裁判です。「権力の濫用」「議会に対する妨害」で訴追されながら、上院の評決で無罪になりました。評決後、トランプ側は「民主党のでっち上げ、いかさまの企てが終わり、疑いは完全に晴れた」との声明を発表しました。そこまでいうか。「黒を白」と、叫び続けていれば、自分を信じてくれる支援者、信者がいると、思っているのでしょう。あるいは、「黒でも白でも、自分たちの利益を守ってくれるなら、どっちでもいい」と、多くの支援者は考えているのでしょう。彼らにとって「法の正義」は二の次なのです。
何が法の支配、法的な正義なのかを争う場合は、裁判所の裁判官のもとで、陪審員が公正に論議し、判決を下します。米大統領の場合は、政治的思惑が渦巻く議会、その上院議員が陪審員になり、有罪か無罪かを多数決で決める。「かなり奇妙な米弾劾裁制度」(e-論壇「議論百出」2020年2月11日付)で詳細に述べた通り、こんな仕組みでは法的正義より、政治的動機が優先される。「法による正義」は政治的利益より下位に押し下げられているのです。 トランプ氏の擁護を続けたことが評価されて司法長官に抜擢されたバー氏といえどもさすがに「司法省が扱う刑事事件に関してはツイートを控えるべきだ」と大統領に苦言を呈しました。自分の元側近の量刑が重すぎると批判し、司法省に要求を飲ませた大統領の異例の行いの危うさに、バー長官は深刻な懸念を抱いているのです。
日本でも同じような問題が起きています。安倍政権に好意的とみられる東京高検長の定年を、従来からの規定を破ってしばらく延長する閣議決定がなされました。今夏、検事総長に就任させる目論見といわれます。にわかに定年延長を閣議で決定してしまい、野党の追及に政権はのらりくらりの構えです。(つづく)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム