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2020-01-10 00:00
(連載2)予算案の偽装で財政危機の危機感が後退
中村 仁
元全国紙記者
偽装4。国債発行額は32兆6千億円で、10年連続で減っています。日銀によるゼロ金利政策で国債の利子負担が減り、国債発行額も減ってきました。いつまでゼロやマイナス金利が続くのか、政府日銀は何も言いません。しかしこのようなファイナンスにもかかわらず、来年度についてみると、年度内の補正予算で経済対策(事業規模26兆円)を組み、国費は7兆円が投入され、ついに国債の増発が見込まれます。
偽装5。これまでも補正予算がしばしば組まれ、財源をかなり国債に頼ってきました。当初予算で国債発行額を圧縮して「よくやっただろう」と国民にアピールするのですが、年度途中で大型の補正予算を繰り返し編成しています。そのたびに国債発行が増えているのはいうまでもありません。補正予算でテコ入れすることありきで当初予算案を控えめに組むため、補正後(決算ベース)で比べてみないと、本当の財政の健全性はわからないようになっているのです。
偽装6。おかしな財政理論を使って、財政膨張を正当化する勢力が強いのです。財政拡張派が好むMMT(現代貨幣理論)はその好例です。「インフレになったら歳出抑制に乗り出せばよい」ようなことを唱えています。財政は政治経済学であり、経済理論は通用しません。歳出抑制に転換しようとしても、政治がそれを許しません。現在の財務状況を苦にしてたがを外すような理論を無責任に採用しようとする政治家が、いざインフレを起こした時に引き締められるわけがありません。一度、緩めた財政節度はまずもとに戻せないのです。「景気が悪いからといって国債発行して歳出を増やす」「景気が好転して税収が増えても、まだ回復が不十分だといって、国債償還に回さない」。その繰り返しです。積り積もって、国の借金は1000兆円です。必要なのは政治経済学の理論です。
企業なら決算を粉飾したり、偽装工作をしたりすれば、経営者は背任に問われ、追放されるでしょう。それに比べ、国家の場合は予算案が国会を通ってしまえば、だれも責任を問われない。予算案は偽装されていますから、国民も「どうにかなるのだろう」と、財政危機に無頓着なのです。(おわり)
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