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2019-12-11 00:00
(連載2)国際金融的視点から見た中国本土経済
真田 幸光
大学教員
以下、細かく、ご説明申し上げます。中国本土では、この間、米国の動きを見ながら、米中金利差を分析しつつ、「今後、米ドル安、人民元高になる。」と予想、将来価値の上がる人民元を意識するビジネスマンが増え、短期で米ドルを借入、ビジネスの拡大を図るという行動を取る中国本土企業が増加、その結果、中国本土の短期対外債務が拡大していると、私たち国際金融筋の多くは、ほぼ確信しています。また、2013年に中長期が21.6%、短期が78.4%であった状態と比べると、対外債務の構造は改善されているとの肯定的な指摘はありますが、短期債務が占める割合が依然として高いとの見方が国際金融筋の一般的な見方です。尚、2018年の外貨準備に占める短期対外債務の割合は41.4%となっており、この年報では、この点を捉え、「この比率は、一般的に警戒を要する水準とされる100%を下回っており、中国本土の対外債務のリスクは全体的にコントロール可能な状態にある。」と説明されています。
しかし、1997年のアジア通貨危機を経験した私たちからすると、「外貨準備の中で、米ドル建て債権を減らす一方、短期の対外債務、就中、米ドル建ての短期対外債務を膨らませている中国本土、中国本土企業は、もし、アジア通貨危機時期のように、突然、そして、急激な人民元安のアタックを国際金融市場で受けると、米ドル建て資産は少なく、返済に充てにくい、そして、中国本土、中国本土企業の収入の主たる源泉が人民元であることを考えると、例えば、もし、アジア通貨危機の際のインドネシアのように数ヶ月でインドネシアルピアの価値が8分の1になったように人民元の価値が8分の1ともなれば、中国本土、中国本土企業は突然これまでの8倍もの人民元を稼がなくては米ドルの返済ができなくなる、しかし、そうした8倍もの利益を短期間にあげることは事実上不可能、よって、インドネシアのように、一旦は国家破綻する、そして、現行の国際金融システムからすれば、その際には、中国本土は、国際通貨基金(IMF)という国際機関の管理下に置かれ、財政・金融・産業政策といった経済政策主権をIMFに事実上奪われることになりかねない。」との厳しい見方が出てくるのであります。
そして、こうした形での、「中国本土のバブル崩壊の可能性」は国際金融の罠の中で高まりつつあるように私には見えます。因みに、更に言えば、中国本土政府は、1997年のアジア通貨危機の際の韓国と同様、公式統計に含まれない香港やニューヨークなどの金融センターでの借り入れを対外債務に含めていないとの疑義があり、その額は最大1兆5,000億米ドル前後と国際金融筋は見ており、これを前述の公式統計に加えると、中国本土は、3兆米ドルを優に超える対外債務が存在していることになり、外貨準備高では十分にカバーしきれない状況に既にあるとの見方も出てきています。
最後に、今、拡大する中国本土ビジネス、更には、その中国本土が推進する一帯一路戦略などを見ると、「日本も今、中国本土とのビジネスを拡大しなくてどうするんだ?!」という声をよくお聞きしますが、「念の為」上述したような中国本土リスクを意識して頂いた上で、日本企業の皆様方には、「中国本土ビジネスでババをつかまされぬよう。」ご注意頂き、対中ビジネスの拡大を図って頂きたいと思います。また、もう一点、国際金融筋は、この中国本土と共に、韓国、場合によっては北朝鮮も含めて、「新アジア通貨危機」を起こし、アジアに広がろうとしている新たなチェンジの芽を摘む可能性もあるのではないかと私は見ています。そんなことは、私の単なる虚言であってほしいと思いますが。(おわり)
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