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2019-11-14 00:00
(連載2)WTOでしか出来ないことがある
緒方 林太郎
元衆議院議員
日本はコメとの関係で「例外なき関税化反対」を最後まで言い続け、最後までこれで突っ込んで例外措置を勝ち取った。勝ち取ったはずだが、よく気が付いてみると大損をする内容であり、WTO協定が発効して4年で「やっぱり関税化します」と方向転換している。当時の雰囲気からして「例外なき関税化」回避が至上命題だったが、それで突っ込んで大失敗した例として記憶されるべきものである。そして、コメ以外の品目、つまり小麦、大麦、乳製品の一部、でん粉、雑豆、落花生、こんにゃくいも、繭・生糸及び豚肉についてはどんな形であれ関税化した。
また、補助金について切り込んだ貿易協定は、これまでWTO農業協定だけである。どんなに貿易自由化しても、先進国が補助金ジャブジャブで自国を守り、ましてや他国の農産品市場を荒らしてしまえば、自由化の意義は減殺されるという問題意識である。特にEUが出している輸出補助金に対する目線は厳しかった。ここでよく考えなくてはならないのは、この世界の農業補助金に対する世界共通のルールはWTO協定で止まっているという事である(勿論、各国とも財政状況が厳しいので独自に補助金改革は進めている)。TPPが進もうとも、日EU経済連携協定が進もうとも、日米貿易協定が進もうとも、補助金にはメスは入らない。二国間や複数国間の協定で補助金を削減する国はない。「WTOなど要らない。有志でやっていけばいい」という考えを最近よく聞くが、絶対にWTOでしか取り組めない分野がある事を忘れてはならない。
そういうウルグアイ・ラウンド交渉を経て、作られたWTO協定は平成5年末に妥結、平成6年4月に署名、そして、国会審議等を経て平成7年1月1日に発効する。協定の発効とともにWTOという新しい国際機関が発足した。
発足当初はGATT事務局長を務めていたピーター・サザーランドが暫くWTO事務局長を務めていた。ただし、事実上の初代事務局長は、イタリアの元対外通商大臣であったレナート・ルッジェーロ。この事務局長選考プロセスは日本にとって痛いものであった。詳細は書かないが、韓国に二枚舌ではっきりと裏切られたのである。大学時代に読んだイギリス人外交官ハロルド・ニコルソンの「外交」という本には、「外交においては正直が一番大事だ。嘘をつくと長期的には損をする」といった趣旨の記述があった。そう信じて外務省に入った私には、この事務局長選挙での韓国の立ち振る舞いは一発目の強烈なパンチだったように思う。あの時以来、こういう時の韓国は信頼が置けないと思うようになった。とても残念な経験であった。(おわり)
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