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2019-11-08 00:00
(連載2)「クルド人を裏切った」アメリカをどう考えるか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
当然にクルド人は、アルカイダと同じ道を行くだろう。クルド人はアメリカに期待していただけに、かえって恨みが大きくなるはずである。その恨みをどのように表現するのか。まさに、テロという形でアメリカに対抗しようとするのではないか。アメリカ政府はそれでよいのかもしれない。イラクもアルカイダもそうやって大義を作って滅ぼしてきた。しかし、アメリカの軍人軍属にとっては、政府が種を蒔いたテロのために多くの仲間や家族が死ぬことに繋がってしまう。その大いなる犠牲を、アメリカ政府が好んで作っているようにしか見えないのは理解に苦しむ。他方で、同盟国や潜在的パートナーが、将来的に米国を信頼しない事態を懸念する声も上がっている。国防当局者の1人は、今回の件について「今後我々のパートナーになる勢力が出てくるとは期待できない」と語っている。
さて、ではその「同盟国」の一つである日本は、このクルド人に対する米国政府の政策判断をどう受け止めるべきであろうか。実際に日米安全保障条約があったとしても、その条約は当然にアメリカ自身の「国益」によって選択されている。つまり、無条件で、なおかつアメリカの国益につながらない状態で、アメリカが安全保障条約を発動して、アメリカ人が血を流すような話は期待すべきではないのは明らかだろう。且つ、勘違いしてはいけないのは、「日本政府が血税から金を払っているから」とか「自治体が基地の負担を甘受しているから」とか情に訴えたところで、有事に米軍が斟酌したりはしないということだ。金はあとで稼げるが、軍人の血や命は、失われたら戻らないのである。
では、このようなクルド人のニュースを見て日本は何をすべきか。当然に、アメリカとの安全保障条約を使いながら、そして日米同盟を使いながら「アメリカに依存しない外交や防衛」を考えなければならないのではないか。まさにそのために憲法改正は必要な状況である。
もう一つ参考にすべきは、クルド人の失敗である。実は、クルド人勢力は内部対立しクルド人全体の意思決定ができないでいた。このことが、アメリカが自分たちを見捨てる可能性があることをわかっていたにもかかわらず、防げなかったことに繋がっている。つまり、日本も、国がまとまっていなければ、無条件で守ってくれる訳ではないアメリカと渡り合っていけないのである。そのことを考えなければならないのではないか。(おわり)
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