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2019-10-28 00:00
(連載1)韓国「黒字倒産」のリスク
真田 幸光
大学教員
改善が期待されているものの、依然として残る米中摩擦の危険性を背景として、その中国本土経済に対する経済依存度が高く、かつ中国本土を中心とするサプライチェーンを通じて中国本土の対米輸出の動向にも影響を受け易いと見られている韓国の通貨・ウォンは、何かのきっかけを受けると、売り圧力を受け易い状況が続いています。
そもそも、韓国経済は、アジア新興国の中では相対的に経済の輸出依存度が高く、輸出全体に占める中国本土向けの割合が3分の1を上回っており、中国本土を中心とするサプライチェーンに組み込まれているほか、来訪外国人数に占める中国人観光客の割合も約4割となっているなど、外需面で中国本土に対する経済依存度が高い国であります。また、文在寅政権が、国民感情を意識し、財閥などの既得権益層ではなく、一般庶民の生活水準を改善しようとして推進されている「所得主導成長論」に基づく最低賃金の引き上げ政策や『働き方改革』の実施などによって、現状の韓国の雇用・所得環境はむしろ悪化、若年層を中心に不安が拡大、日本など外国に職を求めなくてはならなくなっている中、家計消費が弱含むなど悪影響が内需面でも出てしまっています。
一方、中央銀行である韓国銀行は、昨年末に『政策余地』の拡大と不動産バブル懸念に対応すべく1年ぶりの利上げ実施に踏み切りましたが、依然として、金融政策面での動きの余地も限られてきています。こうした中、私の関心事は、「韓国は、米ドル建て債務の多い国であり、その返済が滞ると、係数で見ると破綻が起きないような状況にあっても、ワンピンチ、破綻リスクが残っている、即ち、国家版の、“黒字倒産”のリスクが残っている点は、意識しておかなくてはならない」と言う点にあります。
韓国銀行によると、本年6月末時点の韓国の短期対外債務残高は1,400億米ドルとなり、外貨準備に対する比率が約5年ぶりの高水準となっており、海外投資家が韓国国債などの購入を増やしたことが背景と説明されています。6月末時点の短期対外債務は1,400億米ドルで、3月末の1,294億米ドルから増加、これに対して、6月末時点の外貨準備高は4,031億米ドルで、3月末の4,053億米ドルから減少し、この結果、6月末時点の短期対外債務の対外貨準備比は34.7%と、3月末時点の31.9%から上昇し、2014年9月の34.9%以来の高水準となっているのであります。対外貨準備高比は、2008年後半の80%を依然として大幅に下回っていますが、短期対外債務の増加は韓国の金融収支の安定度が低下することを意味します。(つづく)
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