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2019-10-19 00:00
独中日の共同研究プロジェクト始動
池尾 愛子
早稲田大学教授
今月半ば、2泊3日の予定で北京に出張した。1993年に北京で開催された東アジア国際学術会議に出席した研究者と会食することができた。それは私にとって初めての訪中機会であったので、実に26年ぶりの再会となった。英語での会話になったので、幾つか質問して確かめることができた。「中国では『資本論』第1巻の英訳は使わず、必要に応じて中国独自で英訳している」とのことである。つまり、マルクス経済学は英語では国際化しないのである(2019年8月28日の本e論壇投稿「ドイツ語と英語の間の言語文化障壁」参照)。実をいうと、経済思想は各言語と切れない関係があるので、経済思想の国際会議を安易に開催しようとすると、ハラスメントにあうので注意しなければならない。また、事情も知らずに、経済思想の国際会議の開催を誰かに押し付けようとするのもハラスメントになるので、絶対にやめるべきである。
今回の出張の主目的は、ドイツ・中国・日本の社会科学に関する国際共同研究プロジェクトをどう進めるかを会議で話し合うことであった。会議では、中国語、ドイツ語、日本語、英語が飛び交った。それでも会議は成功した。次にドイツで会議を開催するべく、研究メンバーを充実させるなど、その準備が急ピッチで進行している。
ただ、2泊3日の予定で出張したのであるが、台風19号の影響で、予定通りに帰国することができなかった。北京からは東京方面だけではなく、名古屋と大阪方面もまる2日間のフライトがキャンセルされた。友人の助けを借りて、2日遅れのフライトを確保した。ホテルの予約もしなければならない。いつも使っている日本の旅行代理店のウェブサイトにアクセスした。反応は遅いものの「北京」で検索することはできた。しかし、次の絞込検索ができない。それゆえ、友人に空港近くのホテルの予約までしていただいた。
後で、その旅行代理店のウェブサイトにアクセスして、数回繰り返しても、1回検索する(反応は遅い)と次の検索がかけられないのである。中国のインターネット環境は変である。帰国して試すと、「北京空港」で絞込検索ができる。もっとも、宿泊したホテルはヒットしない――その旨は中国の友人たちに伝えた。ひょっとしたら、日本人のいう「中国式ユニット・シャワー・トイレ」が使われていて、外国人には使い慣れないものからかもしれない。それから、9月には視聴できた英語のテレビ・チャネルは、着いた日には音声が出ないものの映像だけが映っていた。それが翌朝になると、見ている間に、映像まで消えた。他のニュースチャネルも見られなかった。
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