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2019-10-04 00:00
(連載2)近視眼的な政策が招く深刻な金融リスク
中村 仁
元全国紙記者
山口廣秀氏と吉川洋氏は、この報告書で日銀の金融政策(超低金利政策)について、「追加緩和が行われると、金融機関の体力が一段と脆弱になり、危機への対応力も弱まる」と述べています。米欧の緩和政策を後追いすべきではないという意味です。日銀は先月19日の政策会合で金融政策の現状維持を決めたものの、黒田総裁は追加緩和の現実味が増しているとの態度です。利下げという延命治療をいつまでも続けていると、経済的体力はさらに低下しかねないにもかかわらずです。
民間銀行は苦しんでいます。全銀協会長(三井住友銀行頭取)は、追加の金融緩和策としてマイナス金利の深堀り(現在のマイナス幅の1%を広げる)が見送られたことを「歓迎する」と述べました。山口廣秀氏が言及した「金融機関の体力の低下」がさらに進めば、金融危機に際して、企業に対する流動性(救済融資の余地)を確保できないからです。
「バブルの崩壊が迫っている」は、米国でしばしば聞かれます。イエール大のシラー教授(ノーベル経済学賞)が考案した株式市場に対する長期的指標(CAPEレシオ)に山口氏は言及し、危機ラインの25倍を超え「現在は歴史的な高水準である35倍」にもなると指摘しています。リーマンショック直前の27倍も超える数字です。そのほか「住宅価格、商業用不動産価格などの資産価格が大きく上昇」、「企業債務の名目GDP比はリーマンショック前のピークを上回っている」、「米国の金融システムには黄信号がついた(バブル崩壊の切迫)」と、山口氏と説明します。08年から10年以上経ちましたが、バブルはほぼ10年周期で破裂していることを踏まえると、「破裂したら日本への影響は08年のショックを大きく上回る」との予想は不気味です。
結論は「追加的な金融緩和については、幅広い見地に立つことが必要だ」です。「幅広い見地」とは、目先の景気動向、株価、政治の思惑にとらわれず、中長期的な経済・金融の健全性の確保を最優先して、政策選択をすべきという意味でしょう。(おわり)
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