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2019-09-26 00:00
中国の手が伸びる南太平洋諸国
宮城 愛梨
大学生
9月16日にソロモン諸島が、同20日にキリバスが、それぞれ台湾と断交しました。このように、もともと台湾と国交を維持していた国が多かった太平洋の島国で台湾と断交する例が連続しています。もちろんこれは、中国がこの2か国と国交を樹立したということであり、同時に2か国に要求して台湾と断交させたということでもあります。この事実は、中国の外交攻勢の苛烈さを示しています。
ところで、我々日本人は台湾をめぐる国際情勢の話となるとあつい関心を寄せて「台灣加油(台湾頑張れ)!」と台湾贔屓になりますが、南太平洋の島国の政治や外交などの動向には意外なほどに興味がありません。ソロモン諸島を始めとした南太平洋の国々に目を向けてみると、今では美しい海や豊かな自然を売りに観光人気がある島も一部あるものの、概して日本人には縁遠い地域です。ですが、日本人の誰もが歴史の授業で習ったように、地理的にはかつてガダルカナルの戦いやソロモン海戦で日本軍がアメリカ軍と死闘を繰り広げた軍事的にとても大事なエリアです。そう考えると、中国が近年いともたやすく台湾の友好国を横取りする状況に、筆者は嫌な感じがしてしまいます。
南太平洋の島々を近隣とするオーストラリアの人々も嫌な感じがしているようです。現在、オーストラリア政府は一時的に中国に融和的だった外交姿勢を修正して、警戒感を強めつつありますが、その材料の一つが南太平洋での中国の存在感の強まりです。中国の意を受けて台湾と断交する近隣の諸国を見て、オーストラリアは良い感情は持たないでしょう。また、第二次世界大戦のあと、南太平洋の島々の安全保障に深く関わってきたアメリカも、早くから太平洋での中国の動向に危機感を持っていました。一方で、習近平国家主席が数年前「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と言ってのけましたが、中国に言わせれば太平洋も一帯一路の範囲内。サモアやバヌアツなどを中国資本が開発しているのも、地政学的観点から太平洋の島々を活用しようという中国の思惑があるのではないかとも言われています。
さて日本はどうかと言うと、今回台湾と断行したソロモン諸島やキリバスを含む南太平洋の国々はオーストラリアと日本との中間にあたります。そこを通れなくされてしまったらシーレーンの一つが潰されるのと同じで、日豪にとっては中国に喉元を撫でられているようなものです。太平洋諸国は長らく日米豪と友好関係にありますが、中国の攻勢が続けば、そのままとはならないかもしれません。太平洋地域においては、日本政府にはアメリカやオーストラリアとの絆をより深めつつ、中国が太平洋で野心を強めないように根気強く関与していくことが求められます。我々市民も遠くの海の話だと思わずに、太平洋の島々に関心を持っていきたいですね。
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