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2019-09-05 00:00
香港ドルの行方
大井 幸子
国際金融アナリスト
30年前の1989年6月、天安門事件が起こった。今、目の前で起こっている香港セントラルを埋め尽くすデモの様子を見ると、まるで30年前に戻ったかのような錯覚に襲われる。当初、天安門を埋め尽くした若き大学生たちは中国政府当局と話をすれば、民主化が進むと希望を持っていた。当局もまたある程度の理解を示した。デモ参加者の要求が認められるのかと思いきや、突如圧倒的な武力によって全てが鎮圧された。同じことが香港でも起こるだろう。
香港セントラルは金融街である。金融街がデモ参加者で埋め尽くされる中、注目は香港ドルの行方である。6/13に香港のインターバンク貸出レートが10年ぶりに跳ね上がり、Hong Kong Inter-bank Offered Rate (Hibor)は1ヶ月物が2.63%、3ヶ月物が2.56%と逆イールドを示し、流動性の収縮が懸念される(※8月16日時点で、それぞれ2.25%と2.38%と逆イールドは解消したが11年ぶりの高水準)。香港通貨当局は香港ドル防衛のために、また、国外への資本流出を防ぐために、市場への介入を急いでいる。Hiborに連動し住宅ローン金利が上昇すれば、香港の不動産市場が急速に冷え込む懸念がある。
そもそも香港ドルは、同額の米ドルの準備に見合った額までしか発行できないカレンシーボード制というペッグ(連動)制を採用しており、香港ドルを発行しているのは、セントラルにあるHSBC、中国銀行、スタンダードチャータード銀行である。もし香港が完全に中国共産党の支配下に入った場合、通貨発行権もまた英国から中国へ移されるのだろうか。天安門広場で起こったように香港ドルもクラッシュされるか?
筆者は数年前に、ある国際フォーラムに参加した。その際、元日銀白川総裁やBIS(国際決済銀行)香港支社の担当者などとお会いした。「香港にドルを置いておいても大丈夫ですか?」とBIS担当者に質問すると、彼は「大丈夫です」と自信を見せた。今や、香港セントラルは香港ドルの攻防戦の場である。時を同じくして、英国では「合意なき離脱」に向かうボリスの出番がやってくる。英米連合軍は通貨防衛軍とも言えそうだ。
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