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2019-08-27 00:00
(連載2)金融政策が機能しなくなる日
岡本 裕明
海外事業経営者
私は北米で90年代、金利が下がる過程において再び「上がる」という言葉を専門家やバンカーから何度となく聞いていましたが私は「上がりません!」と断言し続けました。当時、私は銀行引受手形による借入資金のロールオーバーをほぼ毎月しており、その運用は数億円から数十億円に達するときもあったため、金利に対して極めて慎重な分析と対応が必要でした。その過程において利上げはないと感じたのは、金利上昇圧力に対する抵抗感が日本と同じであり、いずれ金利は低迷し、上げられなくなると読み込んだからであります。それから20年以上経ちましたが、この見方が正しかったことは今、断言できます。
多分ですが、金融政策の前提である循環の論理に不完全性があるのだろうと思います。「下げるのは簡単だが、上げることほど難しいものはない」というのは、まるで重力に逆らうのと同じであります。世の中の金利がどんどん溶けてなくなりやすくなる方向にあるのは至極当然の成り行きだったのであります。
ただ、金利が∞(無限大)のプラスサイドであればまだ問題は少なかったのですが、金融政策当事者がマイナス金利という禁断の果実を手にしたことにより、私はマネタリストの理論は崩壊しつつあるとみています。つまり、「一学派としての限界を露呈したかな」と考えています。もちろん、私は学者でないのでそこから先は踏み込めません。では、ケインジアンという財政派が再び勃興してくるのかといえばそれも違うだろうと思います。
経済学において複雑になった現代社会を解明し、学術的な論破と実働性がある論理が不在である今日において、トランプ大統領が金利を引き下げろと吠え、ドイツでは30年物の国債が入札不調の上、平均落札利回りがマイナス0.11%というあり得ない水準の利率だったことは、専門家の間では驚愕の事実と受け止められています。しかし、これらは今後、当たり前のニュースになると思えば、私はかなりの危機感を持っています。経済のかじ取りはどうするのか、案外、我々の盲点はそのあたりにあるのかもしれません。金融政策が十分に機能しなくなる日が来るのでしょうか?ぞっとする話であります。(おわり)
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