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2019-08-26 00:00
(連載1)金融政策が機能しなくなる日
岡本 裕明
海外事業経営者
この数十年、経済の調整機能は各国中央銀行の金融政策に委ねているところが大きくなっています。報道などでどこそこが利下げをした、利上げをしたと大きく報じられているのは、金融政策が経済政策において花形であって、それを行う中央銀行というものが、国家の、ひいては世界の経済の温度調整の主たる運営者として絶大なる信頼を得ているからであります。
ところで経済学ほどエスタブリッシュされていない主要な学問も少ないでしょう。私も経済学部卒ですが、不動で明白なる理論がいまだに存在しないメジャーな学問であります。ノーベル賞の発表に経済学賞もありますが、あれも本来のノーベル賞とは別枠であり「ノーベル経済学賞」とは通常言わないのであります。単にほかのノーベル賞と一緒に授賞式をやるだけであれは「経済学賞」とノーベルの冠はつけないことになっています。
今日、主流を占めている金融政策はマネタリストと称するシカゴ学派が主導するものであり、ケインズ学派を批判して60年代に勃興した学派の一つであります。学派とはいくつかある学問上の流派の一つであり、絶対ではないのでありますが、現代社会では金融政策の運営者たる中央銀行こそが経済のかじ取りの主導的立場にあると考えられています。そして中央銀行の政策に対して一般的には当該国の政府は関与せず、「独立性」を持たせることが多くなっています。その花形である金融政策運営者は金利の上げ下げを通じて貨幣量を調整することで景気循環をうまく乗りこなせると考えています。よって金利は下げれば景気が回復し、いずれ金利は上がるものだ、と信じられているわけです。ところが日本でその原則論は早々に崩れ、いつまでたっても金利が上がらなくなりました。いや、上げられなくなったといった方がよいのかもしれません。
日本が低金利時代に突入したころはまだバブルの後始末が残る中であり、人々は疲弊する経済の中でようやく光明を見出した状態でありました。そこに金利引き上げ論が出た際に世論は「せっかくの回復も水の泡」「俺の住宅ローンはどうなる」と猛反対の声が出たのであります。金融政策担当者も人の子、結局、循環するべく利上げが達成できなくなったのです。(つづく)
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