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2019-08-20 00:00
(連載1)WTOパネルでも、決着はつかない
緒方 林太郎
元衆議院議員
日本による対韓国輸出強化は、WTOの紛争解決了解におけるパネル手続きに行きそうですね。韓国がその方向で準備しているようです。WTOの紛争解決了解における第一審だと思っておけばいいでしょう。いわゆる徴用工案件では、韓国が日韓財産請求権協定による仲裁手続きをすべてボイコットし、恐らく今後あると思われる国際司法裁判所手続きにも乗って来ないでしょう。一方、WTOのパネル手続きにおいては、設置、パネリストの選任等を拒否し続ける事で手続きの進行をブロックする事が出来ません。どんなに日本が動かなくても、パネルは設置され、そして審理が始まります。正確に言うと、一度は日本(被申立国)が拒否の意思を示す事は出来ますが、二回目にはほぼ強制的にパネルが設置されます。しかも、パネルの報告書(判決のようなもの。法的拘束力あり。)を拒否する事も事実上、出来ません。
いわゆる徴用工の件は韓国がピクリとも動かない事ですべての仲裁や裁判手続きが止まり、日本の輸出管理手続強化については、日本が動かなくてもほぼ自動的にWTOの紛争解決手続きが進んでいくのは不公平だと思う方は多いでしょう。「何故だ」と問われると答えるのが難しくて、「それぞれの組織や協定の作りがそうなっている。」としか言いようがありません。
紛争解決手続のパネリスト(裁判官のようなもの)は個人の資格で選ばれるとなっています。どういう国籍のどういう人が来るかを事前に想定する事はかなり困難です。特定のパネリストを拒否する事は出来ますが、長々と拒否し続けることは出来ないことになっています(最終的にはWTO事務局長が指名する事になる。)。そして、パネリストの任命から報告書まで「原則」6ヶ月となっています。ただ、近年長引く傾向にあります。
これまで書いてきましたが、私はパネル判断をそう楽観視していません。拙稿『日本の措置はGATT条項に整合するか』(2019年7月12日e-論壇「議論百出」)でも述べております通り、安全保障の枠内で取られた措置だと言えば、すべてが正当化できるようにはWTOルールは出来ていません。輸出管理制度は「(正当化される)非関税障壁」なので、それがすべての国に公平、公正な形で運用されているかどうかが問われるわけです。(つづく)
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