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2007-05-21 00:00
米国大統領と戦争権限法
清水義和
日本国際連合協会理事
アメリカの大統領は議会を通過した法案が法律化することを阻止する権限をもっている。これを大統領の拒否権(VETO)という。しかしこの拒否権も議会が3分の2以上の多数決をもって再可決した場合には無効となる。
去る5月1日、ブッシュ大統領は連邦議会から送付されたイラク駐留米軍の撤退期限を明記した総額955億ドル(約11.5兆円)の補正予算案に対し拒否権を行使した。拒否権を行使した理由は、米戦闘部隊の撤退日を上院は2008年3月、下院は2008年9月と明記したためである。議会が大統領の拒否権を覆すには、両院で3分の2以上の支持を集める必要があるが、共和党議員の造反は予想外に少なく、法案は可決と同時に事実上の廃案となった。
過去に大統領の行使した拒否権を覆して成立した法律がある。1973年11月7日、上下両院本会議は3分の2以上の賛成を得て、「議会と大統領の戦争権限法に関する合同決議」を時のニクソン大統領の拒否権を覆して可決した。この結果、「戦争権限法(WAR POWERS ACT)」が成立した。翌年8月、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件が相当進行しており、共和党議員の多くが賛成したからである。同法の骨子は以下の通りである。
(1)軍隊を投入する場合、大統領は可能な限り議会と事前に協議しなければならない。
(2)宣戦布告なく軍隊を投入する場合、大統領は48時間以内に下院議長と上院議長代行に軍隊を投入する必要性やその規模について報告書を提出しなければならない。
(3)報告書が提出されてから60日以内に、議会が宣戦布告せず、あるいは軍隊の使用を承認しない場合、大統領は軍隊を撤退しなければならない。
1973年成立した「戦争権限法」に対し歴代の大統領は軍の最高司令官にたる地位に干渉するものとして軽視することに務めてきた。のみならず1983年、米連邦最高裁判所は立法府による大統領の権限に対する拒否権(LEGISLATIVE VETO)は違憲であるとの判決を下した。
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